2010/09/09

同級生の男子がアソコを固くしているとき、ボクはシェリー・カリーに憧れていたのでした・・・~映画「ランナウェイズ」~



ガールズ・ロック・バンドの草分け的存在として知られるザ・ランナウェイズ/The Runawaysをリアルタイムで知っているとなると・・・若くても40代前半というところでしょうか?
当時の海外アーティストというと・・・ABBA(アバ)、KISS(キッス)、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)という感じでした。
女の子ばかりのロック・バンドなんて、まだまだ考えられなかった時代・・・ヴォーカルのシェリー・カリー(Cherry Currie)コルセットとガーターベルトという過激な下着ファッションが衝撃的でした。
それに・・・当時、シェリーはまだ16歳だったというのですから、改めて驚愕です。


ザ・ランナウェイズは、1977年(ボクは中学2~3年生)に来日してコンサート公演も行い、相当な数のテレビ番組(「ぎんざNOW」など)にも出演していました。
ティーンの男子にとっては「11PM」なみの”お色気”が、いきなり夕方に出現したようなもので・・・同級生の男子はアソコを固くしてしまうようなショッキングな出来事でした。
デビュー曲「Cherry Bomb/チェリー・ボンブ(邦題:悩殺爆弾)」の、シェリーの挑発的な”バッド・ガール”っぷり(まさに!家出娘:ランナウェイズ)に、ボクは違う意味で興奮していた記憶があります。
もちろん、ボクの身の回りにコレセットやガーターベルトなどはありませんでした・・・自宅のテレビだって居間にあるだけでした。
それでも・・・音楽番組に出演するザ・ランナウェイズの歌に合わせて、シェリーになりきって(つもりで!)踊っていたのでした。



ザ・ランナウェイズ来日の翌年、「ロッキー・ホラー・ショー」が日本で公開されたのですが・・・ティム・カリー(奇しくも同じファミリーネームだ!)の演じるフランクン・フルター博士の姿をみて「シェリーと同じだ!」なんてボクは思ってしまいました。
ところが、映画「ロッキー・ホラー・ショー」の元になった舞台は1973年、映画は1975年に製作されています。
もしかすると、シェリーの方が「ロッキー・ホラー・ショー」のコルセットにガーターベルトという下着ルックに無意識に影響を受けていたのかもしれません。
アメリカでは1976年から始まった深夜のカルト上映会で、すでにコスプレをして「ロッキー・ホラー・ショー」を観るということが習慣となっていたということです。
考えてみると・・・1977年というのはピンクレディー全盛期が始まった頃(カルメン’77、渚のシンドバット、ウィンテッド、UFOがリリース)でもあったわけで・・・日本も全国的に”お色気大好き”という時代でもあったのかもしれません。
なんとも猥雑でアナーキーな時代であったと思い返すのであります。

さてザ・ランナウェイズの映画が、今になってアメリカで製作されたというのは興味深いことです。
同年代のアメリカの友人にザ・ランナウェイズのことを聞いてみると、バンドとしての存在は知っているものの、本国ではどちらかというとキワモノ扱いで、人気が大ブレイクしていたのは日本だけだったようでありました。
リアルタイムでは評価はそれほどされなかったけれど、あの時代のスピリットとファッションに、改めて”憧れ”を感じるのかもしれません。
映画はザ・ランナウェイズの結成前から解散までを描いていくのですが、プロデューサーのひとりにジョーン・ジェット(Joan Jett)姐さんが名を連ねていることもあってか・・・「ジョーン・ジェット物語」という感もあります。
また、ジョーンとシェリーのビアンな関係も描かれているもの、「今」だからこそかもしれません。
シェリー・カリー役のダコタ・ファニング、ジョーン・ジェット役のクリスティン・スチュアートが、ルックスを含めて年齢的にも見事に役柄ハマっているところは、映画に大きく貢献してると言っても良いでしょう。
ただ、バンドの歴史を描く伝記映画というよりも、ポエティック、かつ、エモーショナルな映像で、少女たちが”ガールズ・バンド”の中で大人になっていく葛藤を描いている映画でありました
まさに「セックス」「ドラッグ」「ロックンンロール」で彩られた”ガールズ・ムービー”として魅力的な映画になっているのです。

バンドとしての終焉を迎えたのが日本公演の後ということもあって、映画の後半の舞台は日本になるのですが・・・それにも関わらず、日本での劇場公開はいまだに未定というのは腑に落ちません・・・元々「ザ・ランナウィイズ」を高く評価したのは世界的にみても日本のファンだったのですから。
リアルタイムでザ・ランナウェイズを知らない観客にこそ、ぜひ観てもらいたい・・・”朗報”を待ちましょう!

「ランナウェイズ」
原題/The Runaways
2010年/アメリカ
監督 : フロリーア・シギスモンディ
出演 : ダコタ・ファニング、クリスティーン・スチュワート




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