2015/09/29

「食人族」のルッジェロ・デオダート監督に捧げた「人喰族」のリメイク・・・「食人映画」というニッチなブームとその歴史~「グリーン・インフェルノ」@第8回したまちコメディ映画祭 映画秘宝20周年記念まつり~



「食人族」のリメイクといわれるイーライ・ロス監督の「グリーン・インフェルノ」が、全米で2015年9月25日から、日本では11月28日から劇場公開されることになりました!「食人族」制作35周年記念のHDリマスター版が11月3日に発売される予定もあり、にわかに「食人映画」が注目されているようなムードです。しかし、発売元のハピネットから突然の発売中止発表・・・すぐさま発売元をニューライン変えて11月21日に発売発表というドタバタっぷりも「食人族」らしいと言えます。ただ、一部の通販サイト(アマゾン)では、過去発売された「食人族」のDVD(てんこ盛り食人愛好盤)を含めて、すべての「食人族」が商品検索から消滅・・・販売自粛となっているのかもしれません。

そもそも「食人映画」とは何かという話なのですが・・・歪んだ愛情表現の形のひとつとか、猟奇的な趣味嗜好でとか、悲劇的な状況下とかでの、所謂”人肉を食べる行為”の描く「カニバリズム映画」とは違いますし、人間がゾンビ化して人を襲って人肉を食べる「ゾンビ映画」とも違います。文明人(西洋白人)が都会(何故か文明社会を象徴として大都会ニューヨークが多い)から、アマゾンや東南アジアのなどの未開の奥地へ行って(そして飛行機が不時着することが多い)、原始人のような人食い族に襲われるというジャングル冒険映画(1940年代〜50年代にハリウッドで流行った)のような展開が、おおむね「食人映画」の基本のようです。


最初の「食人映画」といわれるのが、イタリアのウンベルト・レンツィ監督の1972年製作の「ラスト・カニバル 怪奇!魔境の裸族/Man From Deep River」。未開の奥地を探検するというアドベンチャー色が強い印象ですが・・・ニューヨークから映画がスタートして、ジャングルで人食い族に捕まって脱出するという「食人映画」の基本パターンは押さえられているし、しっかりエログロ要素も取り込まれています。まだ「食人映画」というジャンルが確立されてない1974年に、日本で劇場公開されているのですが・・・公開時のタイトルは「怪奇!魔境の裸族」となっています。

イタリアは戦後のネオリアリズム主義の映画作家以降は、ヘラクレスなどの”イタリア史劇”、一世を風靡した”マカロニウエスタン”、ジャーロ系の”スプラッター映画”、お色気の”ユーロトラッシュ”、そして、やらせドキュメンタリーの”モンド映画”など、いわゆる「B級映画」の輸出国でした。グァルティエロ・ヤコペッティ監督の「世界残酷物語」代表される”モンド映画”は、自分たちの文化圏とは違う(おもに未開人の)風習をエクスプロイテーション的な視点で撮影したドキュメンタリー風の映画で1960年代には多く製作されていたのです。

しかし、1970年代に入ってくると、とりあえずはジャーナリスト的な体裁を保っていたモンド映画も、カスティグリオーニ兄弟(残酷猟奇地帯、魔の獣人地帯マジアヌーダ、魔界の大陸)などのように、差別的視点の過激な映像だけを集めることが主流になっていきます。そんな”モンド映画”の転換期に「食人映画」というのは生み出されたというわけです。ちなみに、モンド映画はその後「グレートハンティング」や「ジャンク」シリーズなど、人間の死の瞬間を”売り”にすることになっていきます。


「ラスト・カニバル 怪奇!魔境の裸族」の4年後の1976年・・・その後の「食人映画」の”金型”を作ったという意味で、実際の「食人映画」の第1作目といっても過言ではない「カニバル 世界最後の人喰い族/Last Cannibal World」が製作されます。当初予定されていたウンベルト・レンツィ監督とプロデューサーの間でギャラ問題が発生して、ルッジェロ・デオダード監督に交代したという経緯があったらしいです。

飛行機が不時着して人食い族に捕まり脱出するというストーリー展開、実際に行なわれる動物虐待と殺害、白人の登場人物たち(男女関わらず!)がヌードのエロテック要素、モンド映画的な原住民への上から目線、エクスポイテーション的な残酷描写、女性の人権を無視する差別が当たり前など・・・「食人映画」には欠かせない要素が全部揃う、ある意味、高い”完成度”(!)。また、まだ男性ヌード自体が珍しかった当時、主演のマッシモ・フォッシが○ンポ(それも粗チン!)丸出しは、衝撃的で・・・「食人映画」ならではの○ンポ切断への布石もあったりします。この後(本作の日本での劇場公開は「食人族」のヒットの後)「食人映画」は続々と作られていくことになるのです。


「アマゾンの腹裂き族」は、褐色のエマニュエル(Black Emanuelle )シリーズとして、1977年に製作されたジョー・ダマド監督による”ポルノ映画”で、エロとグロの相性を良さを考えれば「セックス」と「人食い」を合体させるのは自然な流れかもしれません。日本での公開時(1981年)のタイトルは「猟奇変態地獄」で、ピンク映画専門の”ミリオンフィルム”によって洋物ポルノとして配給されたようです。


ジョー・ダマド監督は、他に1978年に「パパヤ:ラブ・ゴッデス・オブ・ザ・カニバルズ(原題)/Papaya, Love Goddess of the Cannibals」、1980年に「エキゾチック・マリス(原題)/Exotic Malice」と「セックス・アンド・ブラック・マジック(原題)/Sex and Black Magic」という「食人映画」を製作しています。これら3作品は日本未公開の”ハードコアポルノ映画”・・・人食い行為がエキゾチックでエロティックな風習というような扱いで、メインはストーリーとは無関係(?)に思えるセックスシーンです。


セリジオ・マルティーノ監督による1978年の「食人伝説/Mountain of the Cannibal God」は、ウルスラ・アンドレス(初代ボンドガール)の全裸ヌードが売りで、B級映画を枠を超えた意欲的な作品であったことが伺えます。「ラスト・カニバル 怪奇!魔境の裸族」と「カニバル 世界最後の人喰い族」を足して2で割ったような感じで、前半は「探検映画」っぽいのですが、後半は残酷な「食人映画」となっていきます。知名度のある女優が主演だったにも関わらず、何故か日本では「食人族」が大ヒットした後でさえ劇場未公開(「ホウリー・マウンテンの秘宝/密林美女の謝肉祭」というタイトルでVHSビデオ発売)というのは、ちょっと不思議です。

「食人伝説」では、その後の「食人映画」でお馴染みのシーンとなる○ンポ切断が初登場!また、これまでは人食い族に襲われるのは悪意のない”冒険者/侵略者”でしたが「食人伝説」では、夫の捜索のためにジャングルへ向かったはずの妻(ウルスラ・アンドレス)は、実はウラン鉱石の発見が目的だったという明らかに悪者という設定・・・これは「食人族」と「人喰族」へも引き継がれて、現代社会への問題提起(?)という「食人映画」のひとつの要素となっていきます。ただ、ウルスラ・アンドレスは最後まで生き残って、制裁を受けずに終わるというところは、ちょっと生ぬるい感じです。


多くの「食人映画」のロケーション場所となっていたインドネシアで製作された1980年の「サベージ・テラー(原題)/Primitif」は、どうみても「カニバル 世界最後の人喰い族」のパクり作品。食う側と食われる側がインドネシアの俳優が演じているので、どっちがどっとなのか分からなくなるという珍作です。チープなつくりながら「食人映画」の要素の全部入りで、文明人側がやたら「ギャーギャー」騒ぐので、ホラーコメディとして楽しめます。


「食人族」よりも2年前の1981年に「ゾンビ映画」のヒットを受けて日本で公開されたのが「地獄の謝肉祭」です。人肉食いを伝染病のように扱うという設定は、明らかにジョージ・A・ロメオ監督の「ゾンビ」の影響が明らかで、物語の舞台が未開の奥地やジャングルではなく、アメリカのカリフォルニアというところもありますが・・・「食人映画」のひとつとして考えられているようです。スプラッター映画を凌ぐゴア描写で、公開当時は、かなりのインパクトがあったことを覚えています。


ルッジェロ・デオダード監督の「食人族」が日本で公開されたのは、製作されてから3年も経った1983年のこと・・・これは、世界的にみると「食人映画」のブームの終息後ということになるようですが、インパクトのあるテレビコマーシャルや、同時期に上映されていた「E.T.」に入れなかったお客が替わりに観たという都市伝説もあり、1983年度の洋画配給ベスト10にランクインするほどの大ヒットします。

「食人族」が「食人映画」の金字塔といわれるのは、(今観ても)残虐性が際立っているということもありますが・・・「ブレアウィッチ・プロジェクト」のモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)という革新的な手法を、20年近くに前に”先取り”していること。劇場公開時には本物だと宣伝されていた撮影隊のドキュメンタリー映像と、彼らを捜索する映画本編との”二重構造”という構造が、妙に信憑性を高めたのかもしれません。また、人食い族に襲われる撮影隊の愚行の数々(原住民たちの住居を燃やしたり、動物を殺害したり)を見せるけることにより「人食い族と文明人のどちらが残酷か?」と、現在にも通じる様々な問題を問いかけているようです。


「食人族」によって、ルッジェロ・デオダード監督は「食人監督」の第一人者となるのですが・・・「食人映画」というジャンルを生み出したという”自負”のあるウンベルト・レンツィ監督は、歯がゆい思いをしていたそうです。ウンベルト・レンツィ監督「食人映画」の2作目となる「食人帝国/Eaten Alive」は「食人族」と同年(1980年)に製作されているのですが、「食人族」のヒット後も日本では劇場未公開という残念な扱いを受けています。

ガイアナで集団自殺を行なった人民寺院(ジョーンズタウン)を彷彿させるカルト集団と人食い族を描くという、ある意味、欲張り(?)な作品なっていて・・・失踪した姉を捜索するためにジャングルに向かうという「食人伝説」に似たストーリーだけでなく、動物の殺害シーンなどは「食人伝説」から流用していたりと雑なつくりです。ただ「耳削ぎ落とし」「乳房切り取り」など、惨たらしさはエスカレートしていて・・・「人喰族」へと進化していく方向性が伺えます。


1980年には、マリノ・ジロラーミ監督の「人間解剖島 ドクターブッチャー/Zombie Holocaust」というゾンビ映画の要素を取り入れた「食人映画」がつくられています。東南アジアの孤島でゾンビを量産するマッドサイエンティストと、ジャングルにいる人食い族の、両方から襲われるというトンデモナイお話で・・・人体の破壊度は当時としては過激で、スプラッター映画も超える残酷シーンが”てんこ盛り”であります。ただ、人食い族が味方になり、マッドサイエンティストの施設を襲撃してくれて助かるという終盤の展開は腑に落ちません。


この時期、ユーロトラッシュの巨匠であるジェス・フランコ監督も「食人映画」に参入してきます。「カニバルズ(原題)/Cannibals」「人喰い魔神 裸女狩り/Devil Hunter」「カニバル・テラー(原題)/Canibal Terror」(ノークレジットで脚本のみ)と立て続けて、ソフトコアポルノの「食人映画」を製作するのですが・・・1年ほどで撤退。南国でのリゾート感覚のセックスとモンド映画的な原住民の人食いという風習をミックスした、全方向からエクスポイテーション映画らしく不謹慎で安っぽい作品です。


残酷描写が最も酷い(褒め言葉!)「食人映画」と言われるウンベルト・レンツィ監督の「人喰族」が製作されたのは「食人族」の翌年の1981年のこと・・・日本での劇場公開は「食人族」の翌年(1984年)です。イタリア本流の「食人映画」としては最後の作品といえる「人喰族」は、「食人映画」にあるべきエログロ要素を詰め込んでおり、元祖・食人監督(ウンベルト・レンツィ)としてのプライドが垣間みれます。

人食い族の存在を否定する人類学を専攻する女子大学生グロリア(ロレーヌ・ド・セル)が、卒論の調査のためにアマゾンの奥地へ向かいます。しかし、現地でエネラルドを探すマイクと出会い、一緒に行動を共にしたため、人食い族と遭遇して散々な体験をする羽目になり、最後はグロリアだけ何とか無事に帰国・・・ただ、彼女は帰国後も自然と原住民を守るため、人食い族の存在を公には否定するのです。

このマイク・・・前フリのニューヨークでもマフィアとトラブっていて、コカイン中毒の自己中野郎で、エメラルドが見つけられなかった腹いせに、原住民の男性を目玉をくり抜いたり、性器は切り落として殺害したり、若い原住民の女の子にイタズラして逃げられると射殺したり、グロリアに同行してきた女友達パットと荷物を持って逃亡してしまったりと、横暴の限りを尽くします。確かに原住民に人肉食いの習慣はあるものの・・・だれかれ構わず襲って食べるわけではありません。マイクの行為に、原住民は報復しただけなのです。だから、性器の切り落とされたり、脳みそを食われたとしても・・・自業自得。仲間を置き去りにしたパットは(マイクの巻き添えをくって)「悪魔のいけにえ」さながらのワイヤーホックを乳房に突き刺されて殺されるという惨たらしさであります。気の毒なのは、グロリアと共に行動していた弟のルーディ・・・逃亡中にピラニアに食いつかれて、その痛みに耐えきれず原住民に「殺してくれ」と懇願する(完全ノーカット版のみに収録)のですから。

実際に生きているヘビ、カメ、ワニを殺すシーンは「食人映画」では”お約束”・・・ただ、これを動物虐待と決めつけるこそ、文明人の”おごり”かもしれません。実際に原住民が爬虫類を食べていたかは分かりませんが・・・本作の中では食生活の一部であるという設定で描かれているので、我々が牛や豚を精肉するのと同じことなのです。残酷シーンのエクスポイテーション要素ばかりに目がいってしまいがちの「人喰族」ですが、マイクは制裁されてグロリアは生き残るという”勧善懲悪”なので、妙に腑に落ちるところもあったりはします・・・ただ、原住民や女性への差別表現は、現在の常識では不快であることには変わりありません。「人喰族」は(当然のことながら)日本を含め欧米でもカットされたバージョンの上映を余儀なくされたこともあり(まだビデオレンタルの収益を見込める時代ではなかった)興業的には成功はしなかったようです。


「人喰族」以降の1980年代につくられた「食人映画」は、ビミョーな作品ばかりです。インドネシア産の「猟奇!食人族 密林の女ターザン変態儀式/Jungle Virgin Force」は人食い族内の権力争いと調査隊と不良グループが乱れる怪作、アダムとイブの物語に人食い族がでてくる「アダムとイブvs食人族/Adam and Eve Versus Cannibals」はシュール過ぎて意味不明、日本では食人DVDボックスに入っている「食人族 最後の晩餐(魔境のにけにえ)/Massacre in Dinosaur Vally」はエロもグロも薄味ですべてが中途半端、実話を元にした「食人族VS首刈族/White Slave」は首刈族にさらわれた少女が両親をハメた叔父と叔母に復讐する物語で食人族は単に首刈族と敵対している原住民というだけのこと、「食人族」の続編みたいな英語タイトルの「グリーン・インフェルノ/Cannibal Holocaust 2」は人食い族なんて出てこないフツーの冒険アドベンチャー映画・・・これらの「食人映画」は、1990年代になってビデオレンタル市場向けに、うっかり陽の目をみてしまったとしか思えません。


ルッジェロ・デオダード監督が、自身の食人映画三部作の3作目と豪語する1988年の「サバイバルショット/恐怖からの脱出」は、アクションとエログロが混在していて、ある意味「食人映画」というジャンルの映画自体の終焉を感じさせます。残酷描写規制がユルい市場向けに「食人映画」バージョンを制作していたにも関わらず、何故か日本では別物の「アクション映画」バージョンのVHSビデオリリースのみという不幸な作品です。「食人映画」バージョンは、初期の「食人映画」のモンド映画的な雰囲気よりも、人体が裂けたりするスプラッター映画さながらの”ゴアテイスト”が炸裂していて、もはや”いきつくところまでいった”感があります。

1990年代には、殆ど「食人映画」というジャンルの作品は製作されていません。わざわざジャングルの奥地まで行ってロケーションしなくても、近場で人が殺されるシーンを撮影すればつくれるスプラッター映画が流行った時期でもあり、収益率が高いのは、どちらかは明らかであります。しかし、レンタルビデオ市場が広がると、過去の「食人映画」を再評価するマニアが現れるのです。確かに「食人映画」というのは、映画館に観に行くよりも(ポルノのように)個人でこっそり観る方が作品の質には合っています。

2000年代に入ると、公開時にはカットされていた残酷シーンを加えたノーカット版が、VHSビデオやDVDでリリースされ、「食人映画」の、ちょっとしたブームのようになります。そこで、映画館での公開を前提としない”オリジナルビデオ”作品として、いくつかの「食人映画」が製作されているのですが・・・これらの作品は、お世辞にもデキが良いとは言えず、過去の「食人映画」を安っぽく焼き直したにすぎません。


2003年の「食人族2/Cannibal Holocaust the Beginning」は続編というよりも「食人族」のリメイクを試みた作品・・・テレビ局の取材班が人食い族を調査する番組を制作してするという物語で、人食い族の野蛮さが半端ありません。この取材班がサイテーの人間たちばかりで、やらせ取材をやったり、住居を燃やしたり、若い少女をレイプしたり・・・悲惨な映像が撮影できると、ニヤニヤ笑って喜んでいるという悪趣味っぷりなのです。当然のことながら、人食い族に報復されて全員食われてしまうわけですが、テレビ局は彼らは無事に帰還したと嘘をついて、衝撃映像を放送するというオチなのであります。現代のタブロイド紙的なジャーナリズムを批判するという”体”ではあるものの・・・いかんせん、ビデオカメラの独特の画質と、役者たちの演技があまりにも下手すぎて、ひとむかし前のアダルトビデオを見せられている気分になってしまいます。


「食人族2」の続編として制作された2004年の「食人族3 食人族VSコマンドー/In the Land of the Cannibals」は、コンバット隊がマシンガンで人食い族と”バトル”するアクション映画・・・野蛮な人食い族相手にやりたい放題です。本作も、ビデオカメラ独特の画質がアダとなっていて臨場感がないのは言うまでもありません。まるで「食人族4」に続くと言わんばかりの終わり方をするのですが、続々編が製作されたという話はないです。どちらもヴィンセント・ドーン(別名:ブルーノ・マッテイ)監督による作品で・・・1970年代からヒットした映画のパクリ作品ばかり(ナチ収容所映画、ゾンビ映画など)を手掛けていることで有名なので、それを分かって観賞すると「期待を裏切らないガッカリな仕上がり」と言えるのかもしれません。


2007年の「実録・リアル食人族/Welcome to Jungle」、2008年の「食人族捕獲計画/Isle of the Dammed」、2011年の「カニバル 人喰族は実在した/Bloodwood Cannibals」は、アメリカで制作された「食人映画」・・・人食い族は侵入者の若者を襲う”だけ”のモンスター扱いされる作品ばかりです。「実録・リアル食人族」は、全編モキュメンタリー手法で撮影された作品で、肝心な要の残刻シーンは、暗過ぎたり、ブレたり、カメラが止まったりして、何が起こっているかよく分からない本末転倒なつくりですし・・・「食人族捕獲計画」は学生が余興でつくったとしか思えないコントみたいなチープさが、ある意味、衝撃的であります。「カニバル 人喰族は実在した」では、人食い族はホームレスみたいな格好していて、噛まれると人食い族になるという設定なので「これゾンビでしょ?」と、ツッコミ入れるしかありません。


ジャック・ケッチャム原作のホラーミステリー小説を映画化した2009年の「襲撃者の夜 食人族 The Final/Offspring」と、その続編となる2011年の「ザ・ウーマン/The Woman」は、アメリカのニューイングランド地方に出現した人食い族の物語・・・「食人映画」というジャンルに入るか疑問ですが、人食い族を扱った小説に注目が集まったというのは興味深いことです。ただ、映画化が成功したとは言い難いかもしれません。

イタリアのモンド映画をエクスポイテーション的な要素を源流として、冒険映画、ポルノ映画、アクション映画、ゾンビ映画、スプラッター映画と、その時々の流行を取り入れてきた「食人映画」でありますが、ウンベルト・レンツィ監督やルッジェロ・デオダード監督の代表作を超える作品はなく・・・映画史の汚点(褒め言葉!)として、今後も語られる”だけ”なのだろうと誰もが思い始めた頃、イーライ・ロス監督により「食人族」のリメイク「グリーン・インフェルノ」の製作が発表されます。しかし、2013年に完成したという報道はあったものの劇場公開されることはなく、2年近い月日が経ってしまったのです。「キャビンフィーバー」「ホステル」シリーズなど、過激なスプラッターシーンで知られるイーライ・ロス監督ですから、残酷描写にも期待が高まります。そして、やっと今年になって全米公開が決定・・・その全米公開よりも早く”したまちコメディ映画祭 映画秘宝まつり"にて、ジャパンプレミア上映することとなったのです!

ここから「グリーン・インフェルノ」のネタバレを含みます。


まず「グリーン・インフェルノ」が「食人族」のリメイクというのは”まちがい”であります。テロップに「ルッジェロ・デオダード監督に捧ぐ」とありますし・・・タイトルの”グリーン・インフェルノ”(緑の地獄)は「食人族」の舞台となっている南米のジャングルですが、これはあくまでも”象徴的”にとらえた方が良さそうです。

歴代の「食人映画」から引用するシーンが多々あり、全体的に「食人映画」に対するオマージュになっているのですが・・・物語の構成だけでなく”オチ”までが「人喰族」にそっくり。ただ、血の気が引いてしまうような恐怖感には乏しく(残酷描写に我々が慣れてしまっているというのもある)・・・思わず笑ってしまうホラーコメディ的なつくりになっているのです。そもそも、いまどき「食人映画」を観るのは”マニア”だけ・・・リアルに怖い映画として「食人映画」をつくる時代というのは、とっくに終わっているのかもしれません。

国連職員の父を持つお嬢さまのジャスティン(ロレンツァ・イッツォ)は、一部の地域を行なわれている女性の割礼に強く抗議するような意識高いコロンビア大学の学生・・・ニューヨークにある大学の人類学を専攻する女子大学生という設定が「人喰族」のグロリアとまったく同じであることに注目です。人道的な活動を行なっているグループのリーダー格であるアレジャンドロ(アリエル・レビ)に、ちょっと一目惚れ・・・それに気付いたアレジャンドロは、人の良さげなジョナ(アーロン・バーンズ)を使って、ジャスティンを仲間に引き込みます。彼らの次なる目的は、ペルーにあるグリーン・インフェルノと呼ばれるジャングルの開発阻止・・・カルロス(マティアス・ロペス)という金持ちが全額負担してくれたおかげで、トントン拍子で彼らはジャングルの奥地までやってきてしまいます。

彼らが行なうとしているのは、SNSのストリーミング動画を使用した抗議テロでありまして・・・メンバー達がそれぞれ自分の体をジャングルの木に鍵で縛り付けて、抗議声明を訴えるというもの。彼らを無理矢理排除しようとしたり、傷つけたりしたらば、インターネットを経由して世界中に発信されてしまうので、むやみやたらに手を出すことができないだろうというのが、もくろみなのであります。これってイルカ漁に抗議する過激な活動家たちの行なっている方法と似ている感じ・・・やっている本人達にとっては正当な主張をしているつもりなんだろうけど、やられた側からすれば、テロ以外の何ももでもないわけで、はなはだ迷惑な行為・・・これも上から目線だからこその行動にしか見えないところがあります。「わざわざ他人の国まで出かけて行って抗議する前に、自分の国の問題をしっかりみろ!」と言いたくなってしまいます。

ここで判明するのは・・・ジャスティンが国連職員の娘だから、抗議テロの仲間に引き込まれたということ。開発業者を進めようとするペルー政府だって、無駄に国際問題に発展はさせたくないわけですから、武力行使するにしても手加減してくれるというわけです。結果的には警察に保護される羽目にはなるものの、たいしたお咎めもなく、無事にパスポートも返却・・・セスナ機でメンバーたちを送り返そうと、グリーン・インフェルノ上空を飛行している時に、トラブルでジャングルのど真ん中に不時着してしまうのであります!この事故でセスナの後部にいたメンバーは投げ出されて即死、操縦士は飛び出してきた木で頭がぶっ飛んで即死・・・カルロスに至っては、生きてセスナ機から脱出したのに、まだ回転が止まっていなかったプロペラに巻き込まれるというコミカルな死に方です。

生き残ったメンバーは、人種やセクシャリティのバランスが配慮された7人・・・レズビアンカップルがいるところが今っぽい気がします。彼らが不時着したのは人食い族が暮らすエリアで、すぐに彼らは人食い族によって拉致されることになってしまいます。カヤックのような船にのせられて連れてこられたのは、全身を赤い染料を塗った女子供が暮らす村・・・川辺に到着するや否や、村人たちが彼らを取り囲み、やたらと触りまくってきます。このシーンは本作の宣伝スチールとして使われていて、まるで人食い族に襲われているように見えるのですが・・・もしかして、この時点では「ウェルカム」の挨拶(?)ではないかとも思えるのです。やたらめったに怖がるのも、なんか失礼な感じさえします。まぁ、食べるために、体つきを確認しているとも思えますが・・・・。

しかし、恐怖の時間は、すぐ訪れます。黒人のジョナは肉付きがいいこともあってか、到着早々、石のまな板に縛り付けられてしまうのです。目玉をくり抜き、舌を切り取り、手足をナタでバッサリ切断して、血だるまのようになっても、息絶えることなくピクピク動くジョナの胴体・・・この手の映画を観ない人にとっては残酷極まりないシーンかもしれません。ただ、マニアの集まった映画祭だけあって、会場は大爆笑。スプラッター描写が強烈であればあるほど笑ってしまうというのが、正しい「食人映画」の見方ということを改めて確認した気がします。

ここからは、エンディングのネタバレを含みます。


さて・・・この後、彼らは檻の中で監禁状態となり、ひとりづつ食われていくという地獄のような日々が始まるわけです。なんとか監視を目をくぐって逃げたとしても、結局捕まって皮を剥がれて(何故か、このあたりの経緯は映画では省略されている!)・・・その肉は、食事として差し出されるという始末。頭がおかしくなって、自らを首をかっ切って自害する者もいたりします。また、ポールに縛り付けられ蜜を塗られて、全身を蟻に噛ませるというような拷問のような方法で放置されてしまうメンバーもいたりします。こうやって生き残りのメンバーは、いつしかジャスティンとラーズ(ダリル・サバラ)とリーダーのアレジャンドロの3人だけ・・・女性メンバーの唯一の”処女”だったジャスティンには割礼儀式を行なうための準備が整えられていくのです。

さて・・・この場に及んで、実はアレジャンドロは別な開発業者に雇われて、ジャングル開発を阻止する抗議テロを計画したことを白状します。カルロスがメンバーの旅費や活動費を負担したのは、ジャングルを守るためではなく、ライバル会社がジャングル開発の利権を得るためだったのです。抗議テロで撤退を余儀なくされた会社のかわりに、別な会社がジャングル開発を始めているので、そのブルドーザーが村まで来るのも時間の問題だというのであります。ある意味、これは朗報ではあるのですが・・・。

ジャスティンが吹いていたホイッスルに興味を持っていた人食い族の男の子ひとりが、逃亡の手助けをしてくれます。実は「人喰族」のグロリアも人食い族の少年の手助けによって、村を脱出しているのです。当然のことながら・・・アレジャンドロは置き去りにして、ジャスティンは村を脱出することに成功します。人食い族が聖なる動物と崇めるヒョウのおかげで、開発業者がいるエリアまで辿り着くことができて、ジャスティンは無事にニューヨークに戻ることができるのです。そして、記者たちの前で「人食い族なんて存在しない・・・不慮の事故に遭遇した私たちを原住民は優しく助けてくれた」と、ジャングルと原住民を守るために証言をしするのであります!(このエンディングも「人喰族」のグロリアとまったく同じ)

ここで気になるのは・・・アレジャンドロの安否です。金のために抗議テロを計画した「悪者」なのですから、それなりの制裁を受けてくれなければ、観客としては納得できません。ボクはタイトルバックが流れた後でも、生きたまま腹を割かれて人食い族に食われていくアレジャンドロの惨たらしい姿を見せてくれることを期待していたのです。しかし、本作の最後の最後のエンディングでは・・・アレジャンドロは生き残っているだけでなく、何故か人食い族の村で君臨しているらしい(?)というヒントを出して、映画は終わってしまいます。”勧善懲悪”を期待していたわけではありませんが・・・なんとも釈然としない終わり方です。

イーライ・ロス監督の「グリーン・インフェルノ」は、かつての「食人映画」の雰囲気を蘇らせてくれますが、1970年代のモンド映画のような原住民の描写や、社会的に不謹慎なエクスポイテーション要素などは、現在の倫理観に配慮してしたためか薄味・・・観客の居心地を悪くさせるような、妖しい禍々しさは欠落しています。

「食人映画」の歴史を振り返ってみると・・・「食人族」が日本で大ヒットした以外、世界的にみるとリアルタイムでは、決して興行的に成功したとはいえないのです。そもそも「食人映画」のジャンルに入る映画作品が、イタリア史劇、マカロニウエスタン、スプラッター映画、モンド映画、ゾンビ映画などと比較して、制作された作品の本数が圧倒的に少ないのは、それほど儲からなかった・・・という”懐事情”があるのかもしれません。

映画館、名画座、VHSビデオ、DVD(ブルーレイ)、そして、ネット動画や配信で、新しい世代に「食人映画」は繰り返し”再”発見されることになるのでしょう。そして1970年代後半(日本では1980年代前半)に「食人映画」がブームになった時代があったと語り継がれていくのです。これは過去を振り返るというよりも、その時々の時代を反映してのこと・・・「食人映画」に代表される不謹慎なエクスポイテーション映画を求めるニーズは、世代を超えてあるものなのかもしれません。


「ラスト・カニバル 怪奇!魔境の裸族」(別題:怪奇!魔境の裸族)
原題/Man From Deep River
1972年/イタリア
監督 : ウンベルト・レンツィ
出演 : アイヴァン・ラシモフ、メ・メ・レイ、プラティタク・シングハラ、トゥアン・ティーヴァ
1974年5月25日日本劇場公開

「カニバル 世界最後の人喰い族」
原題/Last Cannibal World(Jungle Holocaust)
1976年/イタリア
監督 : ルッジェロ・デオダード
出演 : マッシモ・フォッシ、メ・メ・レイ、アイヴァン・ラシモフ、ジュディ・ロスリー、シーク・ラザック・シクル
1977年7月23日日本劇場公開

「アマゾンの腹裂き族」(別題:猟奇変態地獄)
原題/Emanuelle and the Last Cannibals
1977年/イタリア
監督 : ジョー・ダマド
出演 : ラウラ・ジュムサー、スーザン・スコット、ドナルド・オブライアン、パーシー・ホーガン、モニカ・ザンチ、アンマリー・クレメンティ
1981年2月日本劇場公開

「食人伝説」(別題:ホウリー・マウンテンの秘宝/密林美女の謝肉祭)
原題/Mountain of the Cannibal God(Slave of the Cannibal God)
1978年/イタリア
監督 : セリジオ・マルティーノ
出演 : ウルスラ・アンドレス、ステイシー・キーチ、クラウディオ・カッシネリ、フランコ・ファンタシア、アントニオ・マルシーナ、ランフランコ・スピノーラ、カルロ・ロンギ、ルイビナ・ロッチ、アクシュラ・セラジャー・ダドリー・ワグナル
日本劇場未公開、DVD発売

「サベージ・テラー(原題)」
原題/Savage Terror(Primitif)
1978年/インドネシア
監督 : シスウォロ・グアンタマ・プタ
出演 : エニー・ハリョーノ、バリー・プリマ、ジョナサン・マジョーノ、ルクマン・ハーマン、ジャファプリー・ヨーク
日本未公開

「パパヤ:ラブ・ゴッデス・オブ・ザ・カニバルズ(原題)」
原題/Papaya, Love Goddess of the Cannibals
1978年/イタリア
監督 : ジョー・ダマド
出演 : メリッサ・チメンティ、サーパ・ラネ、モリース・ポリ
日本未公開

「食人族」
原題/Cannibal Holocaust
1980年/イタリア
監督 : ルッジェロ・デオダート
出演 : フランチェスカ・チアルティ、ルカ・バレバレスキー、ロバート・ビルカネン、サルヴァトーレ・ベイジル、リカルド・フュエンテス、ガブリエル・ヨーク、パオロ・パオローニ、ピオ・ディ・サヴォイア、ルイジアナ・ロッシ
1983年1月日本劇場公開

「食人帝国」
原題/Eaten Alive!(Emerald Jungle)
1980年/イタリア
監督 : ウンベルト・レンツィ
出演 : ジャネット・アグレン、ロバート・カーマン、メル・ファーラー、アイヴァン・ラシモフ、パオラ・セナトーレ、メ・メ・レイ、メグ・フレミング
日本劇場未公開、DVD発売

「人間解剖島 ドクターブッチャー」
原題/Zombie Holocaust(Doctore Butcher M.D.)
1980年/イタリア、アメリカ
監督 : マリノ・ジロラーミ
出演 : イアン・マカロック、アレクサンドラ・コール、ドナルド・オブライアン、ジェリー・ブキャナン、ピーター・オニール
1988年6月11日日本劇場公開

「地獄の謝肉祭」
原題/Cannibal Apocalypse(Apocalipse Domani)
1980年/イタリア
監督 : アンソニー・M・ドーソン
出演 : ジャン・サクソン、エリザベス・ターナー、ジョン・モーゲン、トニー・キング、シンディ・ハミルトン、ウォレス・ウィルキンソン、レイ・ウィリアムズ
1981年1月日本劇場公開

「エキゾチック・マリス(原題)」
原題/Exotic Malice(Sesso Nero)
1980年/イタリア
監督 : ジョー・ダマド
出演 : マーク・シャノン、アニャ・ゴレン、ジョージ・イーストマン、フェルナンド・アーカネリ、ルシア・レミレズ、サンディ・サミュエル
日本未公開

「セックス・アンド・ブラック・マジック(原題)」
原題/Sex and Black Magic(Orgasmo Nero)
1980年/イタリア
監督 : ジョー・ダマド
出演 : ニーブス・ナヴァロ、リチャード・ハリソン、ルシア・レミレズ、マーク・シャノン
日本未公開

「カニバルズ(原題)」
原題/Cannibals(Mondo Cannibale/White Cannibal Queen)
1980年/フランス
監督 : ジェス・フランコ
出演 : アル・クリーバー、サブリナ・サイナイ、リナ・ロメイ、ロバート・フォスター、シャーリー・ナイト、オリヴァー・マソット、アントニオ・マヤンス
日本未公開

「人喰い魔神 裸女狩り」
原題/Devil Hunter(Sexo Cannibal/The Man Hunter)
1980年/フランス、西ドイツ、イタリア、スペイン
監督 : ジェス・フランコ(クリフォード・ブラウン)
出演 : アル・クリーバー、ウルスラ・フォルナー、アントニオ・マヤンス、ベルナード・アルトマン、ジセラ・ハン、ヴィクトリア・アダムス
日本劇場未公開、VHSビデオ発売

「人喰族」
原題/Cannibal Ferox(Make Them Die Slowly)
1981年/イタリア、アメリカ
監督 : ウンベルト・レンツィ
出演 : ロレーヌ・ド・セル、ジョン・モーゲン、ブライアン・レッドフォード、ゾーラ・ケロヴァ、ヴェナンチーノ・ヴェナンチーニ、ロバート・カーマン
1984年日本劇場公開

「カニバル・テラー(原題)」
原題/Canibal Terror(Terreur Cannibale)
1981年/フランス
監督 : デヴィット・デュレル
出演 : シルヴィア・ソーラー、パメラ・スタンフォード、オリヴァー・マソット、アントニオ・マヤンス
日本未公開

「猟奇!食人族/密林の女ターザン変態儀式」(別題:猟奇!食人族/密林の変態儀式)
原題/Jungle Virgin Force
1983年/インドネシア
監督 : ダヌ・ウンドウ
出演 : リカルディア・カンドウ、ハリー・カプリ、ニナ・ロジャー、エン二ー・ベアトリス
日本劇場未公開、DVD発売

「アダムとイブvs食人族」
原題/Adam and Eve Versus Cannibals
1983年/イタリア、アメリカ
監督 : エンツォ・ドリア、ルイジ・ルッソ
出演 : マーク・グレゴリー、アンドレア・ゴールドマン、アンヘル・アルカサル、ピエランジェロ・ポッツァート、リリアナ・ジェラーチェ
日本劇場未公開、DVD発売

「食人族 最後の晩餐」(別題:魔境のいけにえ)
原題/Massacre in Dinosaur Vally(Cannibal Ferox 2)
1985年/イタリア、ブラジル
監督 : マイケル・E・レミック
出演 : マイケル・ソブキー、スザンヌ・カーヴァル、ミルトン・モリス、マータ・アンダーソン、ジェフリー・ソアレス、グロリア・クリスタル
日本劇場未公開、DVD発売

「食人族VS首刈族」
原題/White Slave(Amazonia, The Catharine Miles Story)
1985年/イタリア
監督 : マリオ・ガリアッツォ
出演 : エルヴァイア・オードレイ、アンドレア・コッポラ、ニール・バーガー、ジェームス・ボイル
日本劇場未公開、DVD発売

「サバイバルショット/恐怖からの脱出」
原題/Cut and Run
1985年/イタリア
監督 : ルッジェロ・デオダート
出演 : リサ・ブロント、レオナード・マン、ウィリー・エイムス、カレン・ブラック、マイケル・ベリーマン、リチャード・ブライト、リチャード・リンチ、ジョン・スタイナー、ガブリエル・ティンティ、エリック・ラ・サール、ヴェレンティナ・フォルト
日本劇場未公開、VHSビデオ発売

「グリーン・インフェルノ」
原題/Cannibal Holocaust 2
1988年/イタリア
監督 : アントニオ・クリマティ
出演 ロベルト.リッチ、ジェシカ・クインテロ、デヴィット・マウンセル、サッシャ・ダルク、ロベルト・アレッサンドリ、サルヴァトーレ・ボージェス、マルコ・マルロ、ファブリツィオ・マルロ、メイ・デセリグニー、ピオ・マリア・フェデリッチ、ブルーノ・コラッツァリ
日本劇場未公開、VHSビデオ発売

「食人族2」
Cannibal Holocaust the Beginning(Mondo Cannibal)
2003年/イタリア
監督 : ヴィンセント・ドーン(ブルーノ・マッテイ)
出演 : ヘレナ・ワグナー、クラウディオ・モラレス、アントニオ・ルボウル、シンディ・ジェリク・マティック
オリジナルビデオ/DVD発売

「食人族3 食人族VSコマンドー」
原題/In the Land of the Cannibals(Cannibal Holocaust : Cannibal VS. Commando)
2004年/イタリア
監督 : ヴィンセント・ドーン(ブルーノ・マッテイ)
出演 : クラウディオ・モラレス、シンディ・ジェリク_マティック、ルー・ランドール
オリジナルビデオ/DVD発売

「実録・リアル食人族」
原題/Welcome to Jungle
2007年/アメリカ
監督 : ゲイル・アン・ハード
出演 : サンディ・ガーディナー・キャラード・ハリス、ニコラス・リッチー、ヴェロニカ・シワック
オリジナルビデオ/DVD発売

「食人族捕獲計画」
原題/Isle of the Dammed(Cannibal Inferno)
2008年/アメリカ
監督 : マーク・コルグローブ
出演 : ジャレッド・ブックス、クリス・ブレンザ、ピーター・クレイツ、ラリー・カンバー
オリジナルビデオ/DVD発売

「襲撃者の夜 食人族 The Final」
原題/Offspring
2009年/アメリカ
監督 : アンドリュー・ヴァン・デン・ハウテン
出演 : アーナ・ヒンドル、ポリアンナ・マッキントッシュ、アナ・テスラー、ホルター・グレアム、エイミー・ハーグリーヴス、エリック・カステル、アンドリュー・エリヴィス・ミラー、スペンサー・リスト、トミー・ネルソン、ジェシカ・バトラー、レイチェル・ホワイト、ジャック・ケッチャム
日本劇場未公開、DVD発売

「ザ・ウーマン」(別題:ザ・ウーマン 飼育された女)
原題/The Woman
2011年/アメリカ
監督 : ラッキー・マッキー
出演 ポリアンナ・マッキントッシュ、ショーン・プリジャース、アンジェラ・ベティス、ローレン・アシュリー・カーター、カーリー・ベイカー、アレクサ・アルシグリアーノ、ザック・ランド、シーラ・モルフセン
2012年10月20日日本劇場公開

「カニバル 人喰族は実在した」
原題/Bloodwood Cannibals
2011年/アメリカ
監督 : ジョシュア・シーゲル
出演 : ナットハン・アンソニー、ケイト・コリー、ダーレン・コンティ、コリー・ジョネフ、ジョシュア・シーゲル、ジョー・カラビタ、キャロライン・デビットソン、ブランドン・ソーン、スティーブ・エドーソン
日本劇場未公開、DVD発売

「グリーン・インフェルノ」
原題/The Green Inferno 
2013年/アメリカ
監督 : イーライ・ロス
出演 : ロレンツァ・イッツォ、アリエル・レビ、アーロン・バーンズ、カービー・ブリス・ブラントン、スカイ・フェレイラ、ダリル・サバラ、ニコラス・マルティネス、マティアス・ロペス
2015年9月20日”したまちコメディ映画祭 映画秘宝まつり"にて上映
2015年11月28日より日本劇場公開



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2015/09/02

フィギュア”課金ゲーム”市場の拡大がとまらない!(欧米での話だけど)~「アミーボ/amiibo」「ディズニー・インフィニティ/Disney Infinity 3.0」「スカイランダーズ・スーパーチャージャース/Skylanders SuperChargers」「レゴ・ディメンションズ/LEGO Dimentions」~


任天堂アミーボの発売を控えていた頃、フィギュア”課金ゲーム”について、このブログで書いたのですが(めのおかし参照)・・・まさか、三匹目のドジョウとして市場に参入した「アミーボ」が、これほど爆売れするとは思っていませんでした。

ネット通販では発売日前に価格が高騰・・・発売日の店舗では開店前から「アミーボ」目当ての客が並び、僅かしか入荷していない在庫は一瞬にして完売。再生産しても人気のあるキャラクターは常に品薄で入手困難という状態は、今も続いています。

「どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー」対応の「アミーボカード」は、フィギュアよりも増産しやすいにも関わらず、発売前からずっ~と品薄状態。3枚入りパック(定価300円税抜き)の中身に入っているカードはランダムという”ガチャ形式”ですので、”大人買い”を煽るような販売方法といえるかもしれません。

第1弾の全100種をコンプリートしようとするなら、重複を覚悟で50パックの箱入りを購入するか(それでも100種コンプするとは限らないのですが・・・)、誰かと欲しいカードを交換し合うか、一枚づつ中古屋とかオークションとかでコツコツ買い集めるかしかないわけで、なかなかの面倒な作業となるのです。ただしゲームの進行に「アミーボカード」が絶対に必要というわけではありません。


任天堂は、品薄状態の続く第1弾の生産を優先するために、9月に予定されていた「アミーボカード」の第2弾は、発売日未定で延期・・・今後、第3弾、第4弾と発売されるのかは分かりませんが、初代ニンテンドー64「どうぶつの森」から現在までのキャラクター総数は、ゆうに400を超えているはずなので、全住人分の「アミーボカード」発売を任天堂が目論んでいるとしたら、トンデモナイことになりそうです。

今年末までに販売(予定を含む)の「アミーボ」の総数は現時点(2015年9月2日)までに発表されているのは67体、「アミーボカード」は未発売の第2弾100種と、雑誌付録でしか手に入らない限定カードを含むと全201種・・・コンプリートするためには定価で全てを購入したとして10万円を超える(細かく計算してみたら税込みで101714円!)という金額。来年以降も、さまざまな形で「アミーボ」が発売されていくのかと思うと、まさに”底なし”のウハウハ商法であります。「アミーボ」爆売れ現象は、すでにフィギュア”課金ゲーム”市場が成熟しているアメリカやヨーロッパでは、日本以上に加熱しているらしいのです。

今年(2015年)のクリスマス商戦を控え、8月30日の「ディズニー・インフィニティー /disney Infinity 3.0」を皮切りに、9月20日には、「スカイランダース」新シリーズの「Skylanders SuperChargers」、9月27日には新規参入の「レゴ・ディメンションズ/LEGO DImentions」も加わり、フォイギュア”課金ゲーム”の市場は”四つ巴”となっていきます。ただ、日本で正規販売されるのは、この中では「ディズニー・インフィニティー 3.0」だけ(2015年11月12日発売)・・・日本での「アミーボ」独走態勢は、まだまだ続くのかもでしょうか?


「どうぶつの森 amiiboファスティバル」という”すごろくゲーム”対応の「どうぶつの森」のフィギュア型の「アミーボ」発売が2015年の「E3」で表明されています。さらに、アミーボカードが発売されてもおかしくないのが「ポケモン」シリーズ・・・すでにフィギュア型アミーボが何点か発売されていますが、ポケットモンスターはどうぶつの森の住人を遥かに超える総数(700種以上?)があるので、これだけでひとつの市場を構築しそうです。任天堂の「アミーボ」ビジネスは、今後も拡大していくのでしょうか?

そんな中、中国では非公認マジコンデバイス「amiiqo(アミークォ?)」が登場(ネット通販で6900円〜12500円で販売中!)・・・インターネットから複数のamiiboのデータをダウンロードして、どのフィギュア(カード)にもなりすますことができることが”売り”らしいのですが、ゲームソフトがなくてもフィギュアを集める人も多いアミーボ市場には、データだけやりとりできるというのは、ほぼ無意味・・・フィギュア”課金ゲーム”の仕組み「強し!」なのであります。


「ディズニー・インフィニティ」は、マーベルコミックスのキャラクターが加わった「2.0」は日本では未発売(フィギュア不要で「ひかりTV」の遊び放題プランにてクラウドゲームサービスでプレイは可能のようですが)・・・このまま日本の市場からは消えてしまうのかと思いきや、新旧のスターウォーズのキャラクターが加わる「3..0」から再び日本でも発売されることになりました。それもWiiU版だけでなくPS3版とPS4版が(海外ではXbox One版、Xbox 360版も)あります。

「ディズニー・インフィニティ」は、豊富なディズニークラシックスのキャラクターと新作からの新しいキャラクター、そしてマーベルコミックスとスターウォーズのキャラクターという4本立てで、お子様からアメコミファンまで網羅し幅広い層にアピールする要素があります。「インサイドヘッド」のプレイセットやシングルキャラクターとして、「アベンジャース」からウルトロンとホルクバスター、「アナと雪の女王」からオラフ、「トロン・レガシー」からサム・フリンとクオーラ、ピーターパン、ムーラン、ミッキーマウスとミニーマウス、「トゥモローランド」のパワーディスク・・・さらに、来年公開予定のディズニー映画「The Good Dinosaur」「Zootopia」のキャラクターフィギュアやパワーディスク、トイボックスの拡張ゲームキット(Toy Box Expansion Games)も、欧米では発売される予定だそうです。

「1.0」「2.0」では、ランダムのガチャ商法だったパワーディスクがセット販売になりました。欲しいディスクを手に入れるために、重複覚悟でいくつも購入する必要がなくなったのは、ユーザーに優しい仕組みになった気がします。ただ、フィギュア一体の販売価格が各1200円(税込み)から各1620円(税込み)に値上がり・・・本国アメリカでもシングルフィギュアが僅かに値上がり(各$12.99から$13.99)はしているのですが、消費税が5%から8%になったことに加えて”円安”が反映されているようです。そもそも、日本市場には「ディズニー・インフィニティ」の商品自体が出回らないこともありえるので、定価で入手できるうちに欲しければ購入するのが賢明だと思われます・・・。
 

トイザラス専売で発売されていた「スカイランダーズ スパイロの大冒険」は、ゲームとしては出来が良かったにも関わらず日本では大惨敗・・・「ジャイアント」「スワップフォース」「トラップチーム」と続くシリーズは、当然のことながら国内版は未発売のまま。しかし、欧米では、オリジナルキャラクターで勝負し続ける「スカイランダーズ」の人気は衰えていないようで、新シリーズ「スーパーチャージャース/Skylanders SuperChargers」が発売されます。

今回のギミックは「ヴィエクル/Vehicles」=「乗り物」・・・スカイランダーズのキャラクターたちが、さまざまな乗り物に乗って、いろいろな仕掛けのあるステージをクリアしていくという「マリオカート」的な要素(レーシングをするわけではない)が導入されていて、当然のことならがキャラクターフィギュアに加えて、ヴィエクルフィギュアも必要になることは言うまでもないでしょう。また、ステージに適した属性のフィギュアやカスタマイズも必要となると思われるので、なんだかんだでフィギュアを買い足してく必要はありそうです。また「スカイランダーズ」シリーズは、限定のレアフィギュアが多いことでも有名・・・新作も早速「E3」限定版のヴィエクルフィギュアがあり、コレクターマニアの泣かせっぷりは健在であります。

初代シリーズの大失敗を踏まえると、今更「スカイランダーズ」シリーズが日本市場に参入するとは思えませんので、「スカイランダーズ スーパーチャージャース」も、輸入ゲームを購入するような一部の金に糸目を付けない(?)マニア向けに限られてしまうのは、ちょっと残念です。


新規参入となる「レゴ・ディメンションズ/LEGO DImentions」は、お馴染みのレゴの3等身フィギュアが活躍するゲームの集大成・・・リアルのフィギュアをリーダー(トイパッド/ゲートアウェイ)で読み取らせて、ゲーム内に登場させるというのは、レゴフィギュアの世界観にピッタリであります。今まで商品化されなかったこと自体が不思議に思えることからも、満を持して4匹目のドジョウでフィギュア”課金ゲーム”市場に参入ということなのでしょう。

PS4、Xbox Oneなどの次世代ゲーム機の登場で、ゲームプレイ画面は実写のような緻密な映像になり、プレイヤーが操るキャラクターもリアル志向・・・そんな中、マンガチックな三等身キャラ(マリオのような)である「LEGO」のゲームシリーズは、どこか懐かしくて親しみやすいのです。

「LEGO」はワーナー・ブラザーズと提携しており・・・「レゴ・ディメンションズ」からは「ロード・オブ・ザ・リング」「オズの魔法使い」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ザ・シンプソンズ」「ゴーストバスターズ」「ジュラシック・ワールド」「スクービー・ドゥ」「ドクター・フー」「DCコミックス」など、世界観はいくらでも広げていけます。今まで個別で販売されていた「LEGO」のゲームシリーズを集約させるプラットフォーム的な存在となっていくのでしょうか?「LEGO」のゲームシリーズは、日本でも人気があるようなので、将来的にはローカライズされて「レゴ・ディメンションズ」が、いつか日本国内でも発売されるのではないかと微かに期待しています。

アメリカなどの欧米では、スカイランダーズ、ディズニーインフィニティ、アミーボ、レゴ・ディメンションズのと四つ巴状態となっているわけですが・・・今後、フィギュア”課金ゲーム”市場はますます大きくなっていくのか、それとも一定のサイズしかない市場のパイを食い合っていくことになるのでしょうか?

「アミーボ」は任天堂のゲーム機(WiiU、3DS)専用ですが、他のフィギュア”課金ゲーム”は、PS3、PS4、Xbox One、Xbox 360、WiiU(スカイランダーズはWii、iOSまで!)で共有できるという家庭用ゲーム機のシェアに左右されないクロスプラットフォーム仕様です。ゲーム機のシェア争いとは別次元で、フィギュアのリーダー(専用読み取り機器)のシェア争いというのも繰り広げられているわけなのであります。

次から次に発売されるフィギュアを、ユーザーが購入し続けるのだろうか・・・なんて思ってしまうところはあるのですが、ソフト自体は無料でダウンロードできて、時短や強化に課金が必要というスマートフォンのビジネスモデルに対抗するためには、フィギュアやカードのように”物理的に存在する商品”で、なんとしても家庭用ゲーム機業界は、新たな課金システムを確立する必要はあるのかもしれません。数年後には、これらのフィギュアは「単なる”ゴミ”となっているのか?」それとも「”コレクターズアイテム”となっているのか?」・・・年月が経ってみないと分からないことです。

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