2011/11/28

こんな映画、観るんじゃなかった!?・・・”あの”第1作目よりもさらに悪趣味な続編!~「The Human Centipede 2 Full Sequence/ムカデ人間2」~


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日本でも今年の夏から劇場公開されているトム・シックス監督の「ムカデ人間」。すでに続編の製作がされていると噂されていた「ムカデ人間2/The Human Centipede 2 Full Sequenceですが、イギリスでは上映/配信の配給が禁止となり、アメリカでは先月(2011年10月7日から)に限定劇場公開/オン・デ・マンド配信が行われたばかり・・・しかし何故か、そのイギリスでは世界でもいち早くDVD/Blu-rayの発売(2011年11月21日)となりました。「ムカデ人間」については、ちょうど1年ほど前に「めのおかしブログ」で書いていますので、参照してみてください。

画像を含めて内容のネタバレを含みます。

前作ではドイツ人のマッドサイエンティストが、日本人男性と含む3人を肛門と口で数珠繫ぎに結合してムカデ人間を想像するという前代未聞のアイディアで、世界中を恐怖と笑い(?)に落とし込んだわけですが・・・「ムカデ人間2」は、前作の物語の続きというのではなく、「ムカデ人間」という映画に取り憑かれた冴えない男が、自らムカデ人間(それも12人連結!)を創造しようとするオリジナリティに溢れる発想の続編となっているのであります。第1作目よりもさらに悪趣味さ/ビョーキ度を増して、笑うことさえもできなくなるほど”ヤバい映画”となっております。

まず本作が前作と違うのは「モノクロ映画」であるということ・・・デビット・リンチ監督による「イレイザーヘッド」の悪夢を彷彿させます。極端にフォーカスの浅いボケの強い独特の映像からは、息づかいさえも感じさせるほど。モノクロということでゴア描写の残酷さが多少は緩和されてるところがあるのと同時に、モノクロだからこそ観客の想像力で補完されて、よりグロテスクに感じさせているところもあるようにも思います。また、カラーだと特殊メイクの嘘くさが白々しく見えてしまうことがありますが、モノクロ故にロシアのアンドレイ・イスカノフ監督の「ナイフの哲学」のように、妖しいリアリティを感じさせることにも成功しています。前作「ムカデ人間」の”お馬鹿”っぷりとは、かなり雰囲気の違う作品になっていることだけは確かです。

”精神的なハンディキャップを抱える”のマーティン(ローレンス・R・ハーヴィー)は、ロンドンの駐車場でガードマンとして働く30代後半(?)の男で、映画「ムカデ人間」のマニア・・・職場では「ムカデ人間」のDVDを繰り返し観てばかりいます。ムカデ人間関連の写真やイラストを描いたスクラップブックを眺めるのが至福の時という感じ・・・また、自宅のリビングルームでは、ムカデをペットとして飼っていたりしているのです。身長が極端に低く、腹の出た超デブ・・、薄毛がはげ頭に汗で髪がべったりと張り付いて、目だけやたら大きく飛び出してギョロギョロとしているという、かなりインパクトのあるルックスであります。特殊メイクなしで、この体型、この顔というのは”奇跡”のキャスティングと言えるでしょう。


この役者さん・・・主に子供向けの劇団で活動してきたということですが、身体障害者に殺人者を演じさせた「おそいひと」のような、ヤバさを感じさせます。”精神的なハンディキャップを抱える”という設定もあり、全編に渡って台詞らしい台詞はなし・・・地団駄踏んで悔しがったり、奇声を挙げて喜んだりとキチガイじみたパントマイム演技”だけ”で、観る者を不快感の極地に落とし込にながら、虐げられているマーティンの悲痛さまでも感じさせる・・・ある意味、スゴく上手い役者さんなのです。

自ら12人連結のムカデ人間を創造することを”妄想”するマーティンは、職場の駐車場の監視カメラに写る人々を次々と襲って拉致していきます。拳銃で足を撃ち、倒れたところを、バールで殴って気絶させるのです。そして、テープで口や手足を縛り、町外れに借りた倉庫へと運び入れます。時間の流れを考えると・・・随分と手際良く12人もの犠牲者を倉庫に運び入れたり、拉致された犠牲者たちが縛られたままその場にいるというのは不自然ではあるのですが、その理由はエンディングシーンによって明らかになります。

彼の暮らす環境はあまりにも酷いもので、同情の余地は感じさせられます。一緒に暮らす母親(ヴィヴィアン・ブライドソン)は、息子共々死んでしまいたいという願望があるようで、機会があればナイフを振り回すし、何かにつけてマーティンを罵っております。子供の頃に、父親から性的な虐待を受けたというマーティンに対して、夫が刑務所に送られたのは息子のせいだと責め続けている・・・そんな気の狂った母親なのです。

そんなギスギスした家に訪ねてくるカウンセラー先生(ビル・ハチェンズ)は、知恵遅のマーティンを犯そうと狙っていて、ケツを舐め回すように見つめたり、膝をねっとり触ってくる変態エロオヤジであります。さらに、家の上階に住む刺青のマッチョ親父(リー・ニコラス・ハリス)は、毎晩のようにゴア・トランスの音楽を爆音で鳴らす始末・・・騒音の不満を訴えるマーティンに逆ギレして、血尿がでるほど殴る蹴るはの暴力し放題。日常の取り巻く全ての人たちからも虐げられ、イジメを受けるマーティンの姿は、日野日出志のマンガのキャラクターのようであります。

父親からの性的虐待を苦にして、どうやらマーティンは自分の性器を傷つけているらしく・・・正常な状態ではないようなのです。仕事場で「ムカデ人間」のDVDを観ながら性的に興奮してきたマーティンは、紙ヤスリ(!)で陰部をこすってマスターベーションに興じるのですが・・・何が何だか意味が分かりません。でも、興奮と恍惚の表情があまりにも気持ち悪くて・・・見てはいけないものを見せられたように血の気が引いてしまいます。

被害者はムカデ人間の人材(?)にするために拉致された者だけではありません。マーティンが大切にしていた「ムカデ人間スクラップブック」をボロボロに破り捨てた母親は、バールで頭蓋骨に穴が空くほど殴って殺されてしまいます。性的虐待をしようとしていたカウンセラーは、駐車場の車内で売春婦にオーラルセックスをさせているところを発見され、拳銃で処刑されまいます。倉庫の管理人も、あっさりとマーティンは殺してしまいます。


「ムカデ人間」に出演していた女優アシュリン・イェニー本人を、タランティーノ監督の映画のためのオーディションと偽って呼び出して、マーティンはまんまと拉致してしまいます・・・名誉ある(?)ムカデ人間の先頭として。ただ、肛門に繋がれていいので口が利けるため、彼女は舌を引き抜かれるハメになってしまうのですから・・・ムカデの先頭役というのも大変なのです。こうして12人を集めたマーティンは、まったく医学的な知識もなしに12連結のムカデ人間の創造を始めることになります。

まず麻酔なしでハンマーでぶっ叩いて強引に抜歯、膝を切り開いてハサミで腱をチョキンと切って膝をついてしかあるけないようにして・・・口と肛門はホチキスをガンガン打ち込んで無理矢理に結合という大雑把さ!作業中に、うっかり二人(妊婦が、そのうちの一人)殺しちゃったもんだから、実際には”10人”連結のムカデ人間が完成・・・計画していた12人ではないけれど、マーティンも喜びのあまり涙ぐみます。外科的(?)な手術による結合ではないため、現場は血だらけという壮絶さ・・・モノクロの映像だから、かろうじて耐えられる画面です。しかし、本作の悪趣味は、この程度では終わりません。

前作の脱糞シーンも見るに耐えないものでしたが・・・本作では”スカトロビデオ”並に糞まみれとなります。先頭ムカデの女優の口にチューブを突っ込んで、漏斗で無理矢理スープを胃へ流し込み、全員に下剤を注射して排便を促すのです。そして、マーティンの「ブリ、ブリ、ブリ」という合図によって、ムカデ人間たちは次々と下痢便を我慢しきれずに発射していくのであります。しかし、ホチキスで口と肛門を繋いでいるだけだから、結合部分の隙間から便が漏れて飛び散るという地獄図!!!それも至近距離のカメラワークで画面いっぱいに広がるのだから堪りません!最後尾の女性が壁に向かってぶっ放す便は(トム・シックス監督曰く・・・「シンドラーのリスト」のスピルバーグ監督へのオマージュとして)、モノクロ映画の中の唯一のカラー(勿論、うんこ色!)を加えるという周到な悪趣味な演出となっています。

さすがのマーティンも10人の同時排便ショーにゲロ吐きまくりなのですが・・・そんな糞まみれの中、マーティンは性的に興奮してきて、最後尾の女性を後ろから犯し始めるのです!マーティンが腰を振るたびに10人が揺れる様は、まるで10人を一気に犯してるかのようであります。マーティンがムカデ人間を犯すというアイディアは、前作を観た観客から「何故、博士はムカデ人間とセックスしないんだ!」という疑問があったからというのですが・・・ムカデ人間で性的に興奮するということ自体が、ボクは想像しなかったことなので、このレイプシーンには、ただただ絶句というか、息が止まるような衝撃を受けてしまいました。(勿論、直前の脱糞シーンでかなり精神的に参っていたこともありますが・・・)

射精後、ぐったりしたマーティンの隙を狙って、死んでいたと思っていた妊婦がいきなり血の混じった羊水を流しながら、倉庫から外へ逃げ出します。実は彼女は死んでおらず、ビニールシートの下で逃げる機会を伺っていたようなのです。なんとか乗用車の中に逃げ込んで鍵を閉めることができたのですが、何故か車がスタートしません。そのうち運転席に座ったまま赤ん坊を車内で出産してしまいます。へその緒の繋がった赤ん坊は、車内の床に放置されたまま・・・母親は必死の思いで車のアクセルを全開で踏み入れて、何とか逃げることができるのです。

倉庫では、ムカデ人間の中間に繋がれていた刺青のマッチョ親父が、無理矢理自分の口を肛門から引き剥がして、5人連結のムカデ人間の二つに分かれてしまっています。もう・・・ムカデ人間プレイもこれまでかと、マーティンはムカデ人間のひとりひとりを銃殺、刺殺していきます。先頭ムカデの女優が、反撃しようとマーティンの肛門に大きな漏斗をぶっ込んで、ペットのムカデを押し込んだりもします。腸の中で暴れるムカデに苦しむマーティンですが、女優の首筋を切り裂いて、最終的には全員を殺害してしまいます。・・・ここで、画面はいきなり一転して、職場の管理人室で「ムカデ人間」のDVDでエンドロールを観ているマーティンが映し出されます。

・・・すべては、マーティンの妄想であったということなのです。

こういう「すべて主人公の妄想」というオチって、誤摩化されたような印象になってしまうものですが・・・「ムカデ人間2」に関しては、トンデモナイ悪夢から開放されたようなホッとした感覚さえ持ってしまいました。わざわざ「100% MEDICALLY INACCURATE/100%医学的に不正確」と唱えていたり、映画の中での時間の流れが不自然だったのは、マーティンの妄想であったからなのでした。そう思って振り返れば、本作はヒジョーに巧妙な作りになっているのであります。


実は、この”妄想オチ”・・・イギリスの映像審査機関(BBFC)が、イギリス国内での上映/配給禁止の理由として「主人公の妄想による性的暴力行為が過激的だから」と発表してしまったのです。映画会社は、未公開映画の内容を暴露する行為を不服として、訴えていたようですが・・・結果的に、イギリス国内での劇場公開はなく、いきなりDVD/Blu-rayリリースとなったのでしょうか?このような経緯もあってか、残念なことに・・・今回、ボクが観たUK版「ムカデ人間2」は、2分37秒ほどをカットしたバージョンとなっています。アメリカで限定的に劇場公開されたバージョンを観た人たちのレビューや特典映像のメイキングから、いくつかカットされたシーンが推測することができます。

まず、マーティンがムカデ人間をレイプするシーン。カットバージョンでは、マーティンの股間はハッキリとは映し出されません。前出のマスターベーションシーンでも、紙ヤスリを使って”しごいている”らしいとおうことが暗示されるだけ・・・オリジナルバージョンでは、マーティンの股間が映し出されているようです。それは、マーティン自身が傷つけているらしい、そのモノに針金をグルグル巻いて勃起させている(?)という想像しただけでも痛々しいモノ・・・本編で一瞬、メイキングシーンで演出指導している現場ではマーティンの下半身の”フツーでない”股間の状況を確認することが出来ます。


次に、妊婦の女性が車に逃げ込んで出産した後、思いっきりアクセルを踏むシーンですが・・・カットバージョンでは赤ん坊を車の床に産み落とした後、すぐに次のカットで勢いよく発車するシーンになっています。オリジナルでは、赤ん坊の頭が母親の踏み込んだアクセルペダルの下に赤ん坊の頭が挟まって押しつぶされる様子を、ハッキリと映しているようです。メイキング映像で、特殊効果のスタッフが血糊を頭部に仕込んだ赤ん坊の人形を、注意深くアクセルペダルの下に置いているところがありました。妊婦を酷い目に遇わせるというのはホラー映画でも、タブーの範疇に入ると思うのですが・・・生みたての赤ん坊を母親が踏み殺すというのは、さらに一線を越える不快度指数の高いタブーと言えるかもしれません。

最後は、マッチョ親父が自分の口を肛門から引きはがすシーンです。カットバージョンでは引きはがそうとしているシーンから、いきなり引いたカメラで、ムカデ人間がすでにふたつに分離している様子を映し出していますが・・・メイキングを観ると、口と肛門に特殊メイクを丁寧に施し、俳優に血糊の他に便糊(?)を口に含ませる指示をしています。オリジナルバージョンでは、引きはがす瞬間に血だけでなく、下痢便も吹き出すという目を覆いたくなるような演出をしているようです。

オリジナルバージョンを観たアメリカの観客は、これらのカットされたシーンについてのトラウマを語っているのが多いということを考えると・・・アンカットのオリジナルバージョンでこそ、本作の真のポテンシャルが発揮されることには間違いないようです。前作のファンの中には、本作の限界を超えた悪趣味ぶりにヘキヘキしている人もいて「もう二度と観たくない!」「DVDが発売されても買わない!」という人も多いのですから・・・いかにカットされたシーンのインパクトがあることが推測できます。エロティックな内容も含めて、日本で公開された場合、アンカット/無修正となるかは疑問・・・いずれアメリカでもDVD/Blu-rayがリリースされるはずなので、アンカットバージョンの発売に期待するしかありません。

トム・シックス監督は当初から計画してたように「ムカデ人間三部作」完成に向けて、すでに第三作目の脚本を執筆し始めているそうです。続編である「ムカデ人間2」が「ムカデ人間」とは、かなり違う趣の作品であったように、第3作目はまったく違う作品になると語っています。3作をムカデのように繋げた約4時間半で、ひとつの作品になるような三部作を目指しているということです。

4時間半の「ムカデ人間」づくし・・・それはまるで地獄のような体験になることでしょう。




「ムカデ人間2」
原題/The Human Centipede 2 Full Sequence
2011年/オランダ、イギリス、アメリカ
監督 : トム・シックス
脚本 : トム・シックス
出演 : ローレンス・R・ハーヴィー、アシュリン・イェニー、ヴィヴィアン・ブライドソン、ビル・ハチェンズ、リー・ニコラス・ハリス

2012年7月14日日本公開

追伸:2012年2月14日に発売済みのアメリカ版「The Human Centipede 2 Full Sequence」DVD/Blu-rayは「ムカデ」マニア待望(?)のノーカット版!

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