2009/07/12

ニューヨークでみた展覧会~The Model as Muse : Embodying Fashion~

メトロポリタン美術館で行われるファッションに関する展覧会は、毎度ニューヨークを訪れるたびの楽しみのひとつです。


マーク・ジェコブスのスポンサーによる「The Model as Muse : Embodying Fashion」という、ファッションモデルのミューズ(理想の女性像)としての役割を、1940年代から1990年代までのファッション写真と服を展示した展覧会に行ってきました。


各年代10着程度の展示なので、時代の流れを把握出来るほどの点数はありませんが、その時代の有名な写真と、写真に写されている実物のドレスを一緒に見る機会というのは意外になかったことなので、興味深いところではありました。

ただ、時代のニュアンスを感じられない味気ないのっぺりとしたマネキンをすべての年代で使用していることと、殆どの服の生地の張りがなく精気を感じられない印象だったので、実際のドレスよりも写真に写っているドレスの方が「素敵」に見えました。


40年代にはチャールス・ジェイムス、50年代にはクリスチャン・ディオールとバレンシアガ(参考ドレスとしてジョン・ガリアーノによる2000年代のディオールも)、1960年代はクレージュなどと共に映画「ポリマグーお前は誰だ!」で登場したスチール板のドレス、70年代はホルストンとカルバン・クラインのジーンズというような展示です。

80年代は、自分が若かりし頃に購入していたアメリカ版の「ヴォーグ誌」に掲載された写真と実際のドレス(シャネル、ダナ・キャランなど)が陳列されており、当時興奮しながら雑誌を見ていた気持ちが甦りました。


90年代の中心は(マーク・ジェコブスのスポンサーということもあってか?)「グランジ・ルック」のみの展示でした。確かにマーク・ジェコブスがペリー・エリスの1993年春夏コレクションでに発表した「グランジ・ルック」は、その後のコーディネートに影響力のあった提案だったのかもしれませんが、90年代を「グランジ・ルック」に集約してしまうのは、かなり大雑把な時代考証の印象でした。

90年代に限らず、それぞれの年代を単純化して展示してしまうのは、ファションの歴史の流れに誤解を与える気がしました。


個人的には、最後の部屋に1970年代から80年代にニューヨークで活躍したデザイナーのジョージオ・ディ・サントアンジェロによるジャージードレスが多数展示されていたのが嬉しい驚きでしたが、展示に選ばれた服のバランスから考えると展覧会のテーマから外れた印象でした。


研究者の数が少ないからなのか・・・ファッションの時代検証というのは、かなりアバウトで許されてしまうところがあるような気がします。この展示会に限らず、キューレーターや展示会のスポンサーの意向により、時代検証の偏りのあるファションの展覧会があるのは残念なことではあります。


The Model as Muse : Embodying Fashion/2009年8月9日まで

Metropolitan Museum of Art、at The Tisch Galleries, 2nd Floor

1000 Fifth Avenue(東82丁目あたり)


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