2009/07/28

ニューヨークでみた展覧会~Francis Bacon : A centenary Retrospective~

フランシス・ベーコン(Francis Bacon)という画家には、個人的に強い思いがあります。

ベーコンの絵を初めて見たのは、1983に年東京の国立近代美術館で行われた「フランシス・ベーコン展/1952~1982」でした。

その年の9月から始まるアートスクールの授業が始まる前に、夏休み期間中に日本へ里帰りしていました。

当時はベーコンについてはまったく知らなかったのですが、広告の絵に魅かれて足を運んだ記憶があります。


高校時代からアメリカ留学の最初の1,2年というのは、苦悩する青春の日々でした。

苦痛で叫んでいるような表情、肉体を破壊したようなフォルム、空虚に広がっているような不思議な空間・・・それらに自分の心の痛みを感じさせたのかもしれません。

その後しばらくベーコンに取り憑かれてしまい、アートスクールの絵画のクラスでは、グラフティとベーコンをミックスしたような「不快感を与える」絵を描くことに没頭していました。


その後、アートからファッションの世界に入り、ベーコン的な感覚から距離を置くようになっていました。

まとめてベーコンの絵を目の前にするのは、今回の回顧展が四半世紀ぶりということになります。


メトロポリタン美術館の19世紀美術が収められている二階ギャラリーの奥で開催されている「Francis Bacon : A centenary Retrospective」は、制作された年代順に並べられ、ベーコンの足跡はひと目で理解出来るようになっています。

宗教的な磔刑図のシリーズ、ベラスケスの法王からのたくさんの習作、恋人や友人たちのポートレート、洗練された空間と人体のコラージュ。

どの絵のフィギュアも絵を見ている人間とほど等身大なので、その存在感は絵だとは思えないほど生々しさを感じました。


生前のアトリエに残されていた写真や切り抜きの展示は、ベーコンの制作過程を知ることが出来ました。

ポートレートのために撮影された友人たちの写真、数々の災害や犯罪で亡くなった死体の写真、19世紀に撮影された「The Human Figure in Motion/人体の動きをパラパラ漫画のように記録した写真集」など、ベーコンが引用した写真は、面白いほどに絵の中とフィギュアのポーズや表情と一致しているのです。


若い時にはベーコンの描く表面的なグロテスクなイメージに心魅かれていたところがあったのですが、今では当たり前のような”イメージの断片を引用してコラージュ/再構築”するという制作手法にこそ、影響を受けていたことを再確認したのでした。


Francis Bacon : A centenary Retrospective/2009年8月16日まで

Metropolitan Museum of Art、at Special Exhibition Galleries, 2nd Floor

1000 Fifth Avenue(東82丁目あたり)


人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ