2012/06/02

”お化け屋敷モノ”は演出とキャラクターが「キモ」なのだ!~「グレイヴ・エンカウンターズ/Grave Encounters」「インキーパーズ/The Innkeepers」~


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「予告編が超~怖い!」ということで話題になった「グレイヴ・エンカウンターズ」・・・日本でも堂々の劇場公開となりました。それも、シアターN渋谷とかでの単館公開とか、レイトショーという「とりあえず劇場公開という既成事実をつくる」的な上映でなく・・・TOHOシネマズなどのシネコンプレックスでの”全国”ロードショーです!ただ、予告編で話題になるホラー映画っていうのは、だいたい本編はガッカリ・・・ってことが多いものですが、「グレイヴ・エンカウンターズ」も例外ではありません。見事なほどの「ネタバレ予告編」・・・というか、予告編が一番怖いという残念なケース”であります。

「グレイヴ・エンカウンターズ」は、同名のテレビ番組の取材クルーが閉鎖された精神病棟で遭遇した体験が記録された映像・・・というモキュメンタリーの常套手法による”お化け屋敷モノ”。不安定なハンドカメラ、モノクロームの赤外線ハンドカメラと定点カメラという撮影テクニックを駆使して「見えそうで、見えない」演出で引っ張り、サプライズで驚かすという”お馴染み”のスタイルであります。

とにかく取材クルー(特にカメラ目線のMC役!)が胡散臭くて、お金を渡して嘘の証言させたり、イカニモ偽物っぽい霊能者が出てきたり、この手のテレビ番組の”ヤラセ暴露”みたい・・・しかし、番組演出で病棟を外側からチェーンで施錠して、ひと晩肝試し状態でクルー達が閉じ込められると、今度は”本当に”心霊現象が起こり始めるという展開になります。ただ、登場人物たちが、ホントどうでもいいとしか思えないのばっかりなので「ぎゃーぎゃー」大騒ぎしてうるさいだけ・・・恐怖の仕掛けも目新しさはなく、予告編に登場する”例の彼女”を始め、びっくり箱的な「驚かし」が後半に連発されるという、最後の最後まで典型的な流れのまま終わります。こういう映画を観ると・・・テレビ番組の「恐怖心霊映像」とかって、明らかに”つくりもの”なんだと思えてきてしまいます。予告編以上でもなく、予告編から想像できる内容のままという”一作”であります。




「グレイヴ・エンカウンターズ」を全国ロードショーするなら、同じ”お化け屋敷モノ”だったら、こちらを公開して欲しいと思うのが・・・日本ではDVDスルーの決定した「インキーパーズ/The Innkeepers」という作品。ストーリー的には、これほどオーソドックスな”お化け屋敷モノ”はないのではと思えるほどなのですが・・・登場人物をしっかりと描くことによって、単なる”お化け屋敷モノ”というジャンルに留まらない、不思議な魅力をもった一作となっています。

舞台となるのは、ニューイングランドにある”ヤンキー・ペドラー.イン”というホテル・・・その昔、婚約者に捨てられたマデリン・オマーリーという女性が首を吊って自殺をして、その後亡霊となってホテルを徘徊しているという噂があり、それを売り物にしてきたのです。しかし、あと1週間で閉館することが決まっており、オーナーはバケーションに出掛けて不在、従業員も殆ど解雇されて働いているのはルーク(パット・ヒーリー)とクレア(サラ・バクストン)の二人しかいません。クレアとルークは亡霊の存在する証拠をみつけようと、機材を持ち込んで心霊現象を記録しようと探索を始めるのです。

何といっても、クレアとルークのキャラが独特・・・不思議系っぽくて、なんとなく仕事のやる気に欠けている、ゆる〜い二人のやり取りから、何故か目が離せなくなってしまうのは、どことなく皮肉まじりの台詞と、演じているサラ・バクストンとパット・ヒーリーの持ち味かもしれません。タイトルどおり・・・インキーパーズ(旅館管理人)である二人のユーモラスな掛け合いで映画は進んでいくわけですが、キューブリックの「シャイニング」風のゆったりとしたカメラワーク、シーンごとの的確なカメラアングル、効果音のタイミングなどなど、しっかりと王道な”怖さ”の演出を押さえています。この二人の登場人物に感情移入できるからこそ・・・控えめな恐怖演出にもドキドしてしまうというのです

宿泊客は、元女優にして霊媒師というリアン・リース・ジョーンズ(ケリー・マクギリス)や、以前新婚旅行で滞在したことがあるという老紳士(ジョージ・リドル)だけ・・・クレアとルークは心霊探査を続けます。レコーダーには不思議な音が録音されたり、奇妙な物音がし始めます。リアンの霊感によると、地下室に何かがあると感じているらしいことがわかり、遂に二人は禁断の地下へ探索をすることになるのです。ここまでは比較的マイルドな恐怖演出なのですが・・・この後、血だらけの展開になっていき、意外な結末となります。

ホラー映画としては正直いって、肩すかしを食らうようなところもある本作でありますが、作品の魅力はクレアとルークのキャラクターと、どこか懐かしさを感じさせる雰囲気・・・過激に残酷な描写や、驚かすだけの”サプライズ”のホラーではないのです。また、クレアとルークのキャラクターは、ボクがニューイングランドの美術学校時代に出会ったアーティストの友人たちにメチャクチャ似ていて・・・妙にリアルで親しみを感じてしまう。ツボにハマってしまったのでした。


「グレイヴ・エンカウンターズ」
原題/Grave Encounters
2011年/カナダ
監督、脚本、編集:ザ・ヴィシャス・ブラザース
出演      :ショーン・ロジャーソン、アシュリー・グリスコ、フアン、リーディンガー、マッケンジー・グレイ、メルウィン・モンデサー



「インキーパーズ(原題)」
原題/The Innkeepers
2011年/アメリカ
監督 : タイ・ウエスト
出演 : サラ・バクストン、パット・ヒーリー、ケリー・マクギリス、ジョージ.リドル

2012年8月3日に国内版DVD発売



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