2011/06/24

スティーヴン・スピルバーグへのJ・J・エイブラムスからのオマージュ・・・40代おじさんには感涙モノのスピルバーグイズム満載の全部入り映画!~「SUPER 8/スーパーエイト」と「E.T.」~


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最初に申し上げたいのは・・・公開中の「SUPER 8/スーパーエイト」を観ようと思っているなら、ウェブでネタバレ情報を探したり、すでに観た人の話などは聞かない方が良いということです。宣伝手法として観客に前もって内容を明らかにしないということはよくあることですが、フタを開けてみて「あら〜ガッカリ」ってことも多かったりします。そのような秘密主義で制作されてきた本作ですが・・・良い意味で予告編や宣伝から与えられるイメージとは少々違う映画なので、何も知らずに観に行った方が楽しめる映画だと思うのであります。

公開直前になって発表されたポスターは、少年と少女が後ろ向きで立っていて、UFOのような飛行物体の光がこちらに向かって来ているというモノ・・・ただ、このようなシーンは映画本編にはありません。また「僕たちは、ひとりじゃない」というコピーですが・・・これは日本独自のコピーのようです。40代以上の人なら「We are not alone/私たちはひとではない」という「未知との遭遇」の有名なコピーを思い出すに違いありません。予告編では、少年達がスーパー8で自主映画撮影している際に、偶然列車の脱線事故に遭遇して、カメラに列車の貨物車から逃げたす「何か」が写っていたというドキドキするような展開となっていますが、これは物語の序の口でしかないことは明らかです。そこから想像できないようなトンデモナイ起きることよりも、そんな状況下で主人公たちが成長していく姿こそが、本作の見所であるのですから。


主人公の設定と物語の”落としどころ”は、まさに「E.T.」そのもの・・・スピルバーグが繰り返し描いてきた同じ少年の物語と言っても良いのかもしれません。家庭の崩壊していて理解をしてもらえない少年の切ない思いと、孤独感からの脱皮と人間としての成長するという、普遍的で、ベタな物語でなのです。去年ぐらいからハリウッドで多く製作されているエイリアンが地球を襲ってくる映画の数々・・・現在公開中の「スカイラインー征服」、秋公開予定の「世界侵略:ロサンジェルス決戦」、2011年7月23日に日本公開の「モンスターズ/地球外生命体」らと「SUPER 8/スーパーエイト」が一線を引くのは、少年の心を描くという「スピルバーグイズム」とも言える明確なメッセージを持った”人間ドラマ”ということなのです。「E.T.」への強い思い入れを持つボクにとって「SUPER 8/スーパーエイト」は、21世紀版の「E.T.」のような映画・・・見逃すわけにはいきません。

「E.T.」を観たのは1982年6月11日(およそ30年前!)・・・当時ニューヨークに留学していたボクは、実はアメリカでの公開初日に観に行っているのです。数ヶ月前から街中には、E.T.の人差し指と人間の人差し指がくっついているポスター(一番最初のポスターは月のシルエットはなかった)が、そこらじゅうに貼られていて話題になっていました。「未知との遭遇」でUFOとの交信を描いたスピルバーグ監督が、今度は”宇宙人”をスクリーンに登場させるのでは・・・と噂されていた程度で、映画館で上映されていた予告編には「「E.T. the Extra Terrestrial」という文字だけで、映画からの映像は使われていなかった記憶があります。ただ、超大作で知られていたスピルバーグ監督にしては、低予算の作品ということで、ニューヨークのタイムズスクウェア界隈で上映されていたのは、決して大きな映画館ではなかったのでした。

当時は、ニュース番組ぐらいしか情報源はありません。初日の朝、ニュースで徹夜組がいるほど大変な賑わいになっていることを知ったボクは、一緒に行く約束をしていた友人に電話して、すぐに映画館前へ向かうことにしたのです。映画館の前に突いたのは、午前10時ぐらいでした。チケット購入のための列は、すでに映画館のあるブロックをぐるりと一周するほどになっていました。今日中に観れるのだろうか・・・という一抹の不安を覚えるほど大勢の人々がいたのだけど、映画館はレイトショー上映することを即決したらしく、並んでいればチケットは手に入れられそうな感じだったのです。チケットを購入出来たのは昼頃だったのですが・・・上映時間は夜中の午前12時半の回でした。

夜中の映画館は異様な空気に包まれていました。勿論、座席は満席・・・映画が始まる前から口笛を吹いたりしていました。映画が始まると拍手喝采。いちいち映画の場面に大袈裟なくらいに反応する観客に、ボクは初めは引き気味でした。当時は英語のヒアリングも良くなかったので、ストーリーを十分理解できていたかは怪しいものなのですが、周り観客の反応に促されるようにボクは感情移入していったのです。今では誰でも知っている”あの有名なシーン”ですが、当時は誰もどうなるかとか知らないので、自転車が空に浮き上がったシーンでは、観客が総立ちになってジャンプして大騒ぎ・・・涙を流しながら、周りの客と抱き合っている人もいたほどでした。

「アメリカ人って大人も子供に戻れる国民」と言われたりしますが、「E.T.」はまさに、それを証明したような作品だったのです。かなり屈折した映画や、変態的なエログロ映画も好物のボクでさえ・・・「E.T.」は別格。生涯の映画ベスト10に入るとか、入らないとかではなく、永遠に「特別な映画」として君臨している唯一の映画なのであります。

「SUPER 8/スーパーエイト」は、「E.T.」へのオマージュというだけでなく、スピルバーグ映画に対するオマージュと言えるでしょう。なかなか姿が現れないのは「ジョーズ」的ですし、スペースシップは「未知との遭遇」的でした。派手なぶっ壊し方は「ジュラシックパーク」または「宇宙戦争」的であります。スピルバーグが製作に関わった「グーニーズ」的な少年グループのドタバタ劇がもあるし、「トランスフォーマー」的な造形のイメージもあったりするのです。それらが「E.T.」のような色合いのフィルム感、パンカメラの動き、音楽の挿入の仕方、そして1979年当時の雰囲気を再現した出演者達のファッション、インテリア、音楽・・・まさにボクが1980年頃に初めてみたアメリカの郊外の中流家庭を見事に再現しているのです。

「E.T.」をリアルタイムで観て、当時を経験している人ならば「懐かしさ」を超えて、当時製作されたスピルバーグ監督作品を観ているような錯覚に陥るほど「当時感」にこだわった作りになっています。それは、単にJ・J・エイブラムス自身の少年時代を再現したノスタルジーではありません。まだ、任天堂のテレビゲームも普及しておらず、自転車で近所を走り回っていた時代であったということ・・・安全で豊かさとアナログの共存する”幸せな時代”であったからこそ、少年が少年らしく「宇宙人」を夢見ることのできたのかもしれません。

今更ながら、そんな”黄金時代”に少年でいられたことを、ボクは「ラッキー!」だったと思わずにはいられないのです。




「スーパーエイト」
原題/SUPER 8
2011年/アメリカ
監督&脚本 : J・J・エイブラムス
製作    : スティーヴン・スピルバーグ、J・J・エイブラムス、ブライアン・パーク
出演    : ジョエル・コートニー、ライリー・グリフィス、ライアン・リー、ガブリエル・バッソ、カイル・チャンドラー、エル・ファニング、ロン・エルダード、ノア・エメリッヒ、アマンダ・ミシェルカ


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