2010/11/21

メディアの移行時に失われるロングテール的なタイトル・・・映画配信と電子書籍、iPad と Apple TV の未来

遂に iTunes Store での映画配信のサービスが始まりました。

すでに、ひかりTV、アクトビラ、プレイステーションストア、XBOX 360などでも、映像/映画の配信サービスというのは行われてきましたが、15年来の生粋のマックユーザーであり、iPadユーザーで、iPod touch、Apple TVも持っているボクのような「アップルユーザー」にとっては、iTunes Storeという使い勝手の良いシステムで、音楽、ポッドキャストだけでなく映画までも管理、視聴出来るようになることを待ち望んでいたと言えるでしょう。

いよいよ、音楽が「CD」という物理的な記録メディアからデータ配信へと移行したように、映画(映像)も遂にメディアから開放されるのでしょうか?


記録メディアが変化するときには賛否両論になりますが、結果的には、安価で利便性の高い新しいメディアへ移行していくことになります。

ボクの世代というのは、特に記録メディアの移り変わりを経験した世代と言えるかもしれません。

映画(映像)の記録メデァイは、ここ40年ほどで大きな遍歴をしました。

ボクが子供の頃(1970年代半ばまで)は、個人が映画(映像)を所有するということは、8ミリや16ミリ「フィルム」しかなく・・・映画のタイトルが販売をされていても一本の映画が10万円以上という非常に高価なものでした。

1970年代後半になって、徐々に家庭用ビデオデッキ(販売開始当時は25万円!)が普及し始めましたが、映画の「ビデオ」というのは限られていて、主にテレビの録画用だったような気がします。

販売用のビデオテープというのも当初1本が2万円程度・・・購入するのは敷居が高かったのです。

1980年代半ば頃には、ビデオレンタル店が登場して「ビデオ」をレンタルして観るスタイルが一般化しました。

「レーザーディスク」は1980年代初頭から販売されましたが、レコード並みのサイズと劣化しないメディアということもあって当初はかなりのマニア向け・・・ただ、映画が1万円以下で購入することが出来ました。

DVDプレーヤーが登場するのは1996年・・・しかし当初は最も安い機種でも8万円もしました。

「DVD」というメディアが、本当の意味で普及するのは2003年の「プレイステーション2」の発売以降ということになるでしょう。

それから、わずか7年ほどで「DVD」から「Blu-Ray」へと移行していこうとしています。

現在では、映画のDVDが新品で1000円以下なんてこともあるわけで、映像を所有することも随分と容易くなったと感慨深くなってしまいます。

音楽に関しては「レコード」「カセットテープ」「CD」「MD」と記録メディアを変化させてきました。

2003年に「iTunes Music Store」で本格的に「音楽配信」が始め、物理的な在庫をする必要のない「配信サービス」の利点を生かして、ロングテール商品の取扱も増えてきています。


さて・・・記録メデァイの変化で一体何がボクにとって問題であったか・・・ということであります。

映画(映像)を例にとって考えてみましょう。

「フィルム」でしか映画を所有出来なかった時代には、それほどたくさんの映画がメディア化されていたわけではありません。

あらゆる作品がメディア化したのは「ビデオ」の時代になってからです。

勿論、当初は、当時の新作、人気のある旧作、というラインナップでしたが、プレーヤーが普及していくにつれてマニアックな作品もビデオ化されていくことになります。

おそらく、DVDへ完全に移行する2000年代半ばまでは、マニアックな作品はビデオと・・・いう時代だったのです。

そして・・・マニアックなタイトルのビデオに限って、DVD化されることもないことが多かったりするものでした。

大型液晶テレビの普及とともに、徐々に主流になりつつある「Blu-Ray」ですが、これから殆どの新作は「Blu-Ray」で販売されるにも関わらず旧作については、まだまだ「Blu-Ray」化は始まったばかりです。

そんな中・・・記録メディアとして成熟期を迎えた「DVD」では、最近になってビデオ化だけしかされていなかったマニアックな作品のDVD化のラッシュが続いています。

それでも「ビデオ」で販売されたすべてのタイトルが「DVD」になることはないでしょう。

これから何年経っても「Blu-Ray」で販売されることのない旧作というのも、絶対にあるのです。

毎年毎年、膨大な数の映画が製作されるわけで、それらを販売していく方がとりあえずは目に見えて売り上げにつながる・・・そうなると、過去に製作されたすべての映画を、ひとつの記録メディア化することは不可能でしょう。


それ故に・・・「配信サービス」には、期待が高まるのです。

記憶メディアという物理的な商品が存在する限り、どうしてもメーカーは在庫をかかえることになり、生産枚数というのが限られてきます。

過剰な在庫をかかえれば投げ売りされますし、在庫が売り切れて需要があれば中古でも高額で売り買いされるという状況になるわけです。

数年前まで廃盤のために数万円で取引されていたタイトルが、最近再版されたりしてます。

しかし、流通してみると、それほど売れるわけでもないようで・・・今では1500円タイトルとしてプレスを繰り返していたりします。

結局、儲けたのはタイミング良くオークションに出品した人たちっていうような状態では、ますますマニアックな作品を販売しようとするメーカーが減ってしまいそうです。

ロングテール商品(たくさんの需要はないけど、欲しがる客のいるニッチ/マニアックな商品)こそ、配信サービスに適した作品だとボクは思うのであります。

勿論、話題の新作のような大量のダウンロード数はないかもしれません・・・しかし、必ず観たいと思っている客が少なからずいるということです。


iTunes Store では、大島渚の作品や勝新太郎の「座頭市」シリーズなどの配信をサービス開始と同時に始めました。

今後、旧作、名作の配信作品を増やしてくれれば、記録メディアの呪縛から逃れることが出来そうです。

それには、いろんな意味での大人の事情、販売の利権など、解決する問題はあるでしょうが・・・。

書籍に関しては、長年、物理的な「書籍」のかたちであったわけですが、いよいよ「電子書籍」が日本でも現実的になってきてきそうです。

ここでも、所謂ベストセラーだけでなく、ロングテール的なタイトルをどれだけ「電子書籍」化できるかが、本格的な普及の鍵になるのではないかと思っています。

欲しい本、読みたい本って、すでに廃刊になっていることもあって、トンデモナイ高額で「アマゾン・マーケットプレイス」で販売されていると、なんとも理不尽な気持ちにさせらることがあるのです。

近い将来、音楽にしても、映画にしても、書籍にしても、物理的な商品としての販売数を、配信による販売が超えていくことは確実でしょう。

そうなると、配信のみでの販売ということが一般的になり、現在のような「物理的な商品」の販売価格に配慮する必要性もなくなっていくわけです。

その時こそ、本当の意味で「著作権」に対する価格というのが問われて、配信の販売価格が劇的に下がることもあるでしょう。(実際、電子書籍では、すでに始まっている?)

iPod touch、iPhone、iPad、Apple TV など機器は「すべての配信サービス」の受け皿として、テレビのような「家電」になるのかもしれません。


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