2010/10/08

これぞ、究極のリアルクローズ!・・・ローマのアルタ・モーダ時代のジャンフランコ・フェレのオートクチュール・コレクション~1989年春夏~

イタリアのミラノでプレタポルテのデザイナーとして活躍していたジャンフランコ・フェレは、1989年の秋冬、パリのクリスチャン・ディオールのオートクチュール(プレタポルテ、アクセサリーも含む)のデザイナーとして就任しました。

当初は、フランスの誇りといえるオートクチュールのデザイナーに、イタリア人を起用したことにかなり反発があったようですが・・・フェレの見事な手腕に誰も文句はつけられなかったようです。

フェレは、ディオールが活躍した1950年代のスピリットを、モダンな解釈とフェレ自身の持ち味を、インテリジェンスに融合させました。

構築的で大胆なシルエットで知られたフェレのスタイルは「ディオール」以上に「ディオールらしく」・・・歴代のデザイナーの中では、最も適任者ではなかったかと思います。

パリでオートクチュール・コレクションを発表していることを知っていても、ローマの「アルタ・モーダ」でもオートクチュール・コレクションが(現在でも!)発表されていることは、あまり知られていません。

ディオール時代にフェレが発表したクチュール・コレクションも素晴らしいのですが・・・ディオール以前(1986年から1989年春夏)に、ローマの「アルタ・モーダ」にて発表していたクチュール・コレクションの方が、ボクは好きなのです。

特に、ディオールのデザイナー就任直前、そして、フェレ自身の名前を冠したクチュールコレクションの最後となった1989年の春夏コレクションは「圧巻」でした。

今現在の2010年において、このコレクションを改めて見てみても「究極のリアルクローズ」としての完璧なオートクチュール・コレクションであったと思っています。

ペールブラウンを中心に、ホワイト、ブラック、レッドのミニマルなカラー構成。

無地をベースにしながらも、ストライプ、ペーズリー、フローラルなど柄のバリエーション。

そして、ラフィア、レース、ビーズ、シフォンなどによる立体的な装飾。

コレクションを構成されたアイテムは、現代的でミニマルなトップス、スカート、パンツ、ジャケット、ドレスでありながら、装飾性をモダンに加えて、懐古趣味に陥っていない、エッジを利かせたエレガンスの極みに達しているのであります!

デイウェアのスーツからリゾートでの装い、カクテルパーティーやイブニング、そして堂々たるグランドイブニングまで、ライフスタイルだけでなく、デザイン要素を含めて、明確なコンセプトが貫かれています。

一般的な女性の生活には非現実的と思えるような服ばかりですが、クチュールを購入するライフスタイルをもった顧客の視点で考えてみると、完璧なワードローブと言えるのではないでしょうか?


・・・ただし、裕福な貴族の夫人となり、いくつかの企業を運営しながら、週末はリゾート地で過ごし、社交界のパーティーに出席しなければならないという「現実」があってこその「リアルクローズ」ということでは、あるのですが。

その後、ディオールの主任デザイナーはジョン・ガリアーノが就任し、ジャンフランコ・フェレは2007年に62歳という若さで他界しました。

現在はアクセサリーのみ「ジャンフランコ・フェレ」のブランドで存続されているようですが・・・建築家志望だったフェレが、ファッションに関わるきっかけになったが、友人のために制作したアクセサリーだったそうです。

これを「皮肉な終焉」「スタートに回帰」のどちらに解釈するかは、それぞれでありますが・・・。

どんな素晴らしくても、どれほど革新的であっても、コレクションは半年経てば「在庫」という「ゴミ」になってしまうのが、ファッションビジネスの”定め”・・・これから10年経ち、20年経ったとき、ジャンフランコ・フェレを記憶している人は、どれくらいいるのでしょう?

ファッションの歴史というのは、ビジネスを続けている生き残ったブランドによって塗り替えられ、ブランドとして継続されていないデザイナーの名前や業績は忘れ去られてしまいがちなものなのだから・・・。


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