2009/11/01

「ファイン・アート」と「デコラティブ・アート」の間で遊ぶ様式美と機能性~Claude & Francois-Xavier Lalanne~


今年(2009年)の秋、野外パブリックアート展「ニューヨーク・シティ・パークス・パブリックアートプログラム」の一環として、ニューヨークのパークアベニューの中央分離帯の芝生の上に、12頭の羊の彫刻が展示されました。

ニューヨークの高層ビルの間の車が行き交う目抜き通りに、草原を連想させるような光景が現れたのです。


クロード&フランソワ・グザビエ・ララン夫妻の制作する庭園彫刻やインテリアオブジェは、機能性や使用目的を考えれば、デコラティブ・アートの範疇に属するのだと思います。

しかし、一点モノの調度品を創る職人という存在が殆どいなくなってしまった現代では、職人的な完成度と独特の作風を持つオブジェは、ファイン・アートとしてとらえた方が素直なのかもしれません。

リアルなディテールとディフォルメされたフォルムの動物や植物は、絵本から抜け出したようなユーモラスな子供っぽさと、マグリットやダリのようなシュールな大人っぽさが共存しているような印象です。

形の面白さだけではなく、ゴリラの暖炉、亀のプランター、鰐の椅子、ロバの物入れ、カバの洗面器、猿のテーブル、サイのキャビネットなど、意外性のある実用的な機能においてもアーティストの遊び心が発揮されています。


ショーウィンドウや舞台セットのデザイナーなどとしても活動していたフランソワ(夫)とクロード(妻)による共同制作によるジョイントキャリアは、1950年代後半から、去年(2008年)の冬、夫のフランソワ・グザビエ・ララン氏が81歳で亡くなるまで、約50年にも及びます。

クロードのアールヌーボー様式とシュールレアリズムを融合した小さなブロンズのオブジェと、フランソワのユーモラスな実物大の動物の庭園彫刻や調度品によって、詩的な世界観を持つデコラティヴ・アートや”インテリア・オブジェ”として、1960年代から1970年代には特別な存在を確立していきました。

彼らのパトロンでもあったイブ・サンローランのシフォンドレスの為に、リアルなボディなども制作しています。

また、食器、アクセサリー、テーブルウェアや、テーブルや椅子などの実用品のデザイナーとしても多くの商品も発表し、建築物やラントスケープなどにも活躍の場を広げました。


ララン夫妻のインテリア作品は、ここ数年の再評価もあって、ギャラリーやオークションで価格が高騰しているそうです。

トム・フォードやキャサリン・マランドリーノなどのファッションデザイナーや、ハリウッドセレブもコレクターとして名前が噂されています。

西洋的な装飾で嗜好性が高く、海外のギャラリーだけで作品を発表されていたこともあって、日本では殆ど知られていません。

それはそれで残念なことではあるのですが、おしゃれなクリエーター/ディレクターに編集されて再現/複製された商品が出回るようになるよりも、「本物」しか存在しないことにこそ真の意味があるように思えるのです。



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