2010/08/14

ユアン・マクレガーの見事な乙女っぷり!・・・ジム・キャリーのゲイ役はミスキャスト?~「フィリップ、きみを愛している」~



2009年1月にサンダンス映画祭で上映され、ヨーロッパやアジアではすでに公開されているのに関わらず、アメリカ国内ではいまだに正式には公開されていないという・・・なんとも不思議な映画なのが「フィリップ、きみを愛している」です。
原題の「I Love You Phillip Morris」「Phillip Morris が、タバコの銘柄と同じ名前だから?」・・・それとも「アメリカ市場やハリウッド配給会社のホモフォビア?」なんて思っていたら、単に配給会社のトラブルであるとのこと。
ジム・キャリーとユアン・マクレガーが実在のゲイカップルを演じるということで注目された映画で、日本では3月に公開されたのですが、都内ではいつの間にか上映は終わってしまって、ボクは劇場では観過ごしてしまったのでした。
そんなわけで、すでにブルーレイで発売されているイギリス盤を購入しました。

ジム・キャリーは、1990年代の前半にアメリカのFOXネットワークで放映されていた「In Living Color」というウェイン兄弟のコメディシリーズで人気を博して、ハリウッドスターになったわけですが・・・ボクはどうも彼の芸風というのが好きになれません。
スラップスティックな顔芸というのは、テレビのコントの中での瞬間芸としては笑えても、長編映画だとクド過ぎる印象です。
結婚後にゲイであることに目覚めて、派手な生活を送るために詐欺を繰り返しながら、恋人のフィリップに会うために何度も脱獄を繰り返す・・・という実話に基づいたキャラクターを演じているのですが、ジム・キャリーはまったくゲイらしくありません。
普段よりは、かなりアクを抑えた演技をしているのですが、やっぱりジム・キャリー以外の何者ではないのです。(激やせの役作りして頑張っています)
故に、恋人に「愛している」と言うために何度も脱獄する・・・という、映画の根源的なロマンス部分の説得力を感じられずに、頭のいい詐欺師としてのキャラばかりが立っていたような気がします。(実在の人物が、実際にこんな人だったから・・・と言われてしまえば、それまでなんですが)
ジム・キャリーが下手ということではなく、残念なミスキャストという印象です・・・。
個人的にはジョージ・クルーニー(年齢もキャリーとほぼ同じ)あたりにやってもらえたら、ユアン・マクレガーとのラブシーンもマジ萌えたのに・・・なんて思ってしまいました。
まぁ、それは・・・それで、一般の観客には生々し過ぎるのかもしれませんが。



ただ、前評判通り・・・ユアン・マクレガーの物腰の柔らかで可憐なオネェ役は「お見事!」のひと言。
ハリウッド映画やテレビ番組でのゲイ(明らかにウケ役)というのは、妙にナヨナヨしていたり、ベタなオネェっぷりがくどくて、所詮はオカマという名の道化師役・・・いかに女性的であることを「笑う」という差別的な笑いになりがちです。
しかし、ユアン・マクレガーは、笑いを取るための女性っぽさというのではなく、ブロンドのブルーアイズの(元?)可愛い子ちゃんキャラのゲイを、自然に演じているのです。
乙女チックでありながら、セックスには肉食系っぽく”がっつく”ところも、妙にリアルだったりするのですが、それが下品にならずにピュアっぽいのも「さすが!」と思いました。
ユアン・マクレガーは、特にボクの好きなタイプではないんだけど・・・「So Cute!」と、思わず身をよじらされてしまったのでした。

ゲイを主人公とした映画だからといって、作った人たちもゲイでなければならない・・・ということはありませんが、中年男二人で共同脚本、監督しているということは、たぶん・・そうなんだろうと想像してしまいます。
ただ、映像特典のメイキングやインタビューで拝見するかぎりでは・・・なんとも微妙なお二人なのでした。



「フィリップ、きみを愛してる」
原題/I Love You Phillip Morris
2009年/フランス、アメリカ
監督&脚本:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
製作総指揮:リュック・ベッソン
出演   :ジム・キャリー、ユアン・マクレガー、レスリー・マン、ロドリゴ・サントロ



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