2014/06/09

”テクニカラーの女王”と呼ばれたドミニカ生まれのハリウッド女優・・・第二次世界大戦下のエキゾチックな娯楽映画のお姫さま役といえば、マリア・モンテス(Maria Montez)なの!~「コブラ・ウーマン(原題)/Cobra Woman」~



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映画の都である”ハリウッド”は、創成期から多くの移民たちが裏方を支え、スクリーンでは”エキゾチック”を売りにしたスターたちが活躍していました。ハリウッド初のヴァンプ(セクシー)女優と言われるセダ・バラは、アメリカ生まれのユダヤ系アメリカ人であったにも関わらず、ピラミッドの麓で生まれたフランス人とエジプト人の間に生まれたというプロフィールが捏造されたそうで・・・セクシー女優にとっては、特に”エキゾチック”は大きな武器だったのです。サイレント映画時代には、続々と世界中から(主にヨーロッパ各国から)女優が輸入(?)されましたが・・・グレタ・ガルボ(スウェーデン)、マレーネ・デートリッヒ(ドイツ)などは、トーキー映画の時代になっても独特のアクセントで観客を魅了して活躍し続けました。

1940年代に活躍したマリア・モンテスは、中米のドミニカ生まれのラテン系セクシー女優・・・1996年にオープンしたドミニカ共和国パラオナのマリア・モンテス国際空港は、彼女の名前から名付けられるほど、ドミニカという国の誇りのような存在です。ラテン系に留まらず、アラブやエジプトのお姫さままで、”エキゾチック”役柄なら何でも”おまかせ”でありました。個性が際立っているわけではないけれど、当時のアメリカ人にとって強いスペイン語訛りの英語を話す美女というだけで・・・どこの国とか関係なく”エキゾチック”を感じさせたのかもしれません。

彼女は「アラビアン・ナイト」(1942年)で人気を博し、その後「ホワイト・サベージ」(1943年)、「アリババと40人の盗賊」(1944年)、「コブラ・ウーマン(原題)」(1944年)、「ジプシー・ワイルドキャット(原題)(1944年)、「スーダンの砦」(1945年)と・・・テクニカラーの娯楽作品に続けて主演しました。当時は殆どの映画が”白黒”だった時代・・・”テクニカラー”は「超大作」の証であり、マリア・モンテスは「テクニカラーの女王」と呼ばれたほどのスター女優だったです。

一般庶民が世界を旅することはなかった時代ですから、美術セットや衣装デザインは今見ると結構、大雑把・・・国籍不明の”エキゾチック”ではあります。ただ、ハリウッドが制作し続けていたこれらの娯楽作品は、第二次世界大戦で物資が不足していた日本には到底作ることはできないほどの”豪華絢爛”でした。敵国であった日本で彼女の主演映画が劇場公開されたのは、戦後の1950年代になってから・・・残念なことに、マリア・モンテスは1951年9月7日に39歳という若さで亡くなってしまったので、彼女の主演した終戦前の作品のいくつかは、日本で公開される機会を失ってしまったのです。


ジョン・ホールは相手役として、テクニカラーの娯楽作品の全6作でマリア・モンテスと共演しています。物語の主人公は”アメリカ男性”の典型的なジョン・ホールのような男優でありながら・・・主人公が魅了される女性は”エキゾチック”さを売りにしていたマリア・モンテスというのは、戦時下の観客を現実逃避させるための巧妙な戦略のひとつだったのかもしれません。また、インド生まれのサブーが演じる忠誠心のある現地人役というのは、白人(侵略者)にとっての好都合なステレオタイプ・・・今の感覚では考えられない差別的な描かれ方です。そして怪しい現地人役には、サイレント映画時代に「千の顔を持つ男」呼ばれた”性格俳優”のロン・チェイニーの息子ロン・チェイニー・ジュニア・・・・台詞を話さない役柄に徹しています。


「コブラ・ウーマン(原題)/Cobra Woman」は日本劇場未公開ですが・・・1942年から1945年に製作されたマリア・モンテスとジョン・ホールのテクニカラー娯楽映画全6作品の中でも、マリア・モンテスの魅力が最もつまった作品であります。エキゾチックな土地を舞台にすることにより、露出多めの大胆な衣装の”いいわけ”は、常にありましたが・・・特に本作では、架空の島を舞台にしているので、アラビア風でもあり、島のリゾート風でもあるというアバウトな世界観が発揮されています。また、マリア・モンテスが、双子の姉妹(ひとりは悪人、ひとりは善人)を演じるというのも、ファンにとっては「二度美味しい」お楽しみなのです。

ある南の島・・・ラムー(ジョン・ホール)は、島の美しい娘トレア(マリア・モンテス)との結婚式を控えています。ラムーの使用人ケイドー(サブー)が、めくらで唖の怪しい男ヘイバ(ロン・チェイニー・ジュニア)の姿を見かけた後・・・トレアの両親は殺されて、トレアの姿は島から消えてしまうのです。トレアは近くにある「コブラ島」へ連れ去られたらしく、ラムーはひとり危険な島へ向かうことになるのですが、ケイドーとチンパンジーのココがこっそりと彼の後を追っています。「コブラ島」は、活火山が住民たちの脅威なのですが・・・キングコブラのパワーによって火山をコントロールしていると思わせているナジャという独裁者(マリア・モンテスの二役)が、女王を差し置いて支配しているのです。その上「コブラ島」に侵入した者は死刑にされるとされて、誰も近づけない”謎の島”なのであります。


ラムーが島に上陸してみると、召使いの女たちを従えたトレア(実はナジャ)の姿を目撃します。トレアだと思い込んでいるラムーは、池で泳ぐナジャを追って、熱い抱擁をするのです。ナジャはラムーの男性的な魅力にすぐさま惹かれて、その夜の逢引を約束するのですが、ラムーは兵士たちに”侵入者”として捕らえられてしまいます。ラムーとはぐれてしまったケイドーは、ヴィーダ(ロイス・コリアー)という女王の側近よりトレアと再会することができるのですが・・・そこで、トレアはナジャの双子の姉(本来ならトレアが跡継ぎ)で、女王(メリー・ナッシュ)の命令により、非道な妹ナジャの独裁を阻むために、ヘイバが「コブラ島」へ連れ戻したことが分かるのです。(それにしても・・・トレアの育ての両親を殺すというのは残忍すぎ~)

ケイドーは「コブラ島」の秘密を知るために、ヘイバとトレアと共に城へと侵入します。そこでは、住民たちが貢ぎ物を持って集まっています。キングコブラへの信仰による恐怖支配の儀式が行なわれ、住民の中からナジャは”生け贄”を指名しているのです。金銀の貢ぎ物を捧げなければならない上に、生け贄にされるという、住民にとって割の合わない”信仰”であります。マリア・モンテスのヘンテコリンな”コブラ踊り”は、本作のカルト的なシーンのひとつでしょう。まるでコントのような踊りっぷりに「振り付け師はいなかったの?」と疑問が浮かぶほど・・・当時の観客は、この踊りを真面目に観ていたのでしょうか?


牢獄に入れられたラムーは、ナジャの側近であり婚約者であるマートック(エドガー・バリアー)を、あっさりと気絶させて脱獄・・・ナジャの部屋に侵入します。ラムーを引き止めたいナジャは、トレアを見つけ出して島から追放することを命令するのです。ラムーはヘイバの導きにより女王と会うことができて、ナジャがトレアの双子の妹であること、トレアこそが正統な女王の跡継ぎであることを知らされます。

一方、ラムーが脱獄したことをしらないケイドーは、牢獄に侵入して逆に捕らえられてしまいます。そして、ラムーやトレアの居場所を吐かせるために、木から吊るされて拷問を受ける羽目になるのです。チンンパンジーのココの芸(針に糸を通す)で監視兵の隙をつくって救い出されたケイドーはラムーと再会・・・島の女王となるべきトレアを残して、ラムーとケイドーはコブラ島を脱出しようするのです。女王はトレアを跡継ぎとして指名して、ナジャとマートックに島から出て行くように諭すのですすが・・・その夜、女王はマートックにより暗殺されてしまいます。また、ラムーとケイドーも逃げ切れずに、兵士たちに捕らえられてしまうのです。


女王が亡くなり、仲間も捕らえられてしまったトレアの最後の手段は、ナジャの部屋に侵入して双子の姉妹対決するしかありません。コブラ島の女王の証は、キングコブラを操るパワーを持つ(?)コブラの宝石・・・それをトレアはナジャから奪う必要があるのです。ほとんど”棒読み”の台詞回しとスペイン語訛りでの「ギミー・ザ・コブラ・ジュール!(コブラの宝石を渡しなさい!)」は、本作がカルト的な支持を集めるシーン。この決め台詞のあと、大きな槍でトレアを殺そうとしたナジャは誤ってベランダから落下・・・あっさりと死んでしまいます。

マートックにより、ラムーとケイドーの公開処刑が住民たちの目の前で行なわれようとする直前、ナジャになりすましたトレアが登場して、処刑を中断させます。しかし、マートックはトレアのなりすましを見抜き、キングコブラをトレアの前に登場させるのです。怯えることなく”コブラ踊り”をすることができなければ、住民たちからの信仰を失ってしまう・・・トレアが気絶してしまう瞬間に、ケイドーの吹き矢がキングコブラの頭を貫きます。しかし、守り神であったキングコブラが死んだ途端、火山が大爆発を起こしてしまうのです!


パニックの中、ラムー、ケイドー、チンパンジーのココ、ヘイバは一致団結して兵士たちと戦い、最後にはヘイバがマートックを投げ飛ばして、槍の串刺しにして殺してしまいます。すると、不思議なことに火山活動はピタリと止むのです。活火山の怒りの元凶は、すべて悪者のマートックだったのであります!ヴィーダが、貢ぎ物や生け贄はもう必要ないと宣言して、住民たちは新しい女王となったトレアに祈りを捧げるのです。平穏な島になったコブラ島を小舟で後にするラムー、ケイドー、チンパンジーのココ・・・すると突然、舟底からトレアが現れます。コブラ島のことは、ヘイバとヴィーダに任せておけば大丈夫だと、トレアはラムーと元いた島に帰るところで「めでたし、めでたし」となるのです。

正直、今の感覚では”ご都合主義”で幼稚な展開ではあるのですが・・・「エキゾチックな南の島」「謎めいた孤島」「善と悪の双子姉妹」「勘違いとなりすまし」「権力と恋愛」「跡継ぎ争い」「火山爆発のスペクタクル」「激しいアクションシーン」「悪人の残酷な最期」など、当時の娯楽作品としての要素を「これでもか」と詰め込んでいながら、上映時間71分とテンポが抜群なのです。そして何よりも・・・棒読みでスペイン語訛りのマリア・モンテスの(良い意味での!)大根演技と、それをまったく気にしている様子もない堂々とした明るい美貌が、愛すべき作品として語り継がれる理由だと思うのであります。


「コブラ・ウーマン(原題)」
原題/Cobra Woman
1944年/アメリカ
監督 : ロバート・シオドマク
出演 : マリア・モンテス、ジョン・ホール、サブー、ロン・チェイニー・ジュニア、エドガー・バリアー、メリー・ナッシュ、ロイス・コリアー
日本劇場未公開



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