2012/05/11

核シェルターで”生き地獄”・・・こんなことになるなら、さっさと死んでしまったほうが良かったのに?!~「ディヴァイド/The DIvide」



自ら命を絶つことは決して奨めるようなことではないけれど・・・自殺を実行してしまうほど追い詰められている人に向かって「自殺は許されない!」とは、言えないと思っています。ボク自身、ティーンの頃に、2度、自殺未遂をしていたりするのですが・・・失敗した結果、その後の30年ほどを生きているわけです。決して楽しいばかりではなかったけれど、ティーン時に死んでしまわなくて良かった・・・と思っています。これからの将来はどう思うか分かりませんが・・・やっぱり生きているからこそ、生きていて良かったと感じることができるのだから。自殺願望があるからといって、災害とか、事故とか、戦闘とかで、意図せずに死んでしまうのというのは、やはり本人的には不本意なものではないでしょうか・・・やっぱり「生きたい!」というのが、人間としての「本能」であると思うのであります。

「ディヴァイド」は、核戦争で崩壊してしまう直前、ニューヨークの核シェルターに逃げ込んだ人々のサバイバル・・・フレンチホラー「フロンティア」のサヴィエ・ジャン監督による、極限状態での「生き地獄」が、この手の映画にしては比較的長い上映時間2時間”で、じっくり”描かれていきます。

映画の始まりは、エヴァ(ローレン・ジャーマン)の”瞳に映る”核兵器で爆破するマンハッタンの風景・・・ボーイフレンドのサム(イヴァン・ゴンザレス)に促され、ビルの地下へ向かう住人達と共に二人はアパートメントのスーパー(住み込みの管理人)のミッキー(マイケル・ビーン)が管理する核シシェルターに危機一髪のところで逃げ込み、九死に一生を得ます。そこには、黒人のデルヴィン(コートニー・B・ヴァンス)、若者のジョシュ(マイロ・インティミリア)と弟のエイドリアン(アシュトン・ホームズ)とジョシュの友達ボビー(マイケル・エクランド)、そして中年女マリリン(ロザンナ・アークエット)と娘のウェンディ(アビー・シックソン)も逃げ込んでいます。

「SAW/ソウ」以来、閉じ込められた空間の極限状態を描いた映画を、日本では”ソリッド・シチュエーション・スリラー/ホラー”と呼ぶようになったようですが・・・アイディア(脚本)勝負で、比較的に低予算で製作できるということもあり、最近、ずいぶんと量産されています。「ディヴァイド」も、核戦争の背景は描かず、いきなり”核シェルター”に登場人物らが閉じ込めらるところから始まるので、舞台となるのは、ほぼシェルター内”のみ”であり・・・”ソリッド・シチュエーション・スリラー”というジャンルになる映画といっていいかもしれません。しかし、食料や飲み水を争って殺し合う映画?と思ったら大間違い・・・とりあえずは十分な食物も飲み水もあるという状況なのですから、食欲ではなく、支配欲、性欲など、人間臭いことで、徐々に”生き地獄”となっていくのであります。

しばらくして、いきなり防護服の兵隊がシェルターに進入してきて、乱闘となってしまいます。敵なのか、味方なのかも分からない・・・ひとりを殺害したものの、ひとりはウェンディをさらって去ってしまいます。殺した防護服の中には、北朝鮮人のようなアジア系の男・・・その防御服を拝借して、ジョシュが外部の偵察をしてみると、長いトンネルのような通路の末には何かの研究をしている施設があるのです。そこには髪を剃られてチューブに繋がれている実験台のようなウェンディがいます。しかし、他の研究者に発見されて、死にも狂いでシェルターにジョシュが戻ると、外側からシェルターの出入り口をシールドされてしまい、全員、核シェルター内に完全に閉じ込められてしまうのです。

その後、防御服の男の死体が徐々に腐っていくという、嫌~な展開となっていきます。斧で死体をばらして、トイレの肥だめの中に捨てるしかない・・・ということになり、ボビーが名乗り出るのですが、そんな非人道的な行為をすることで、彼は精神的に徐々におかしくなっていきます。生命線である食物や飲み水を管理するミッキーに対して憤りが高まり、遂にミッキーを縛り上げて、指を切り捨ているという拷問によって、食料品を奪ってしまいます。ここあたりから、ジョシュとボビーの二人の暴走が加速していきます。まず、娘を失ったショックでおかしくなってきたマリリンは、ジョシュとボビーの”肉便器”状態にされ、四六時中犯されまくる状態になってしまいます。マリリンを演じるのは、ロザンナ・アークエット・・・ボクの記憶では「スーザンを探して」の世間知らずの若妻役の印象がいまだに残っているので、おばさんになってしまっただけでなく、肉便器にされてしまう役柄を見せつけられるのは・・・辛いです。

ここから多少ネタバレ含みます。

日が経つにつれて、精神的だけでなく、頭髪が抜けて頭のところどころが禿げてきたりと・・・外見の劣化も激しくなっていきます。ジョシュとボビーはスキンヘッドの丸坊主になり、何故か目元だけにメイクアップするという「時計仕掛けのオレンジ」を思い起こさせるようなパンキッシュなルックスになっていきます。マリリンは肉便器にされた挙げ句に殺され、武器の在処を知ってしまった黒人のデルヴィンも殺されます。死人が出れば、誰かが死体をばらして、トイレに捨てなければならず・・・その役割は、まるで生き残るためのイニシエーションのようにもなっていきます。

お約束通り、最後に「ひとり」生き残ることになります。誰が生き残るのか?とうことがミステリーではない映画ではなく・・・意外な人物では、まったくありません。ひとり、残されていた防御服を着こんで、トイレの肥だめを通過して、遂に地上へ出ることになるのです。そして、想像通り、地上は核兵器で崩壊して、命の気配さえしていません。生き残って逃げたのに・・・放射能で死んでしまうのは時間の問題という、なんとも救いのないエンディングというわけです。

「ディヴァイド」のオチは、映画として特にサプライズもなく・・・こうしか終わりようのなかった話ではあるのですが、悲観的になるよりも、やっぱり人間って放射能が満ちた世界であったとしても「生きる」ことを選ぶんだよね・・・という動物的本能の強さを、ボクは確信してしまったのでありました。



「ディヴァイド」
原題/The DIvide
監督 : サヴィエ・ジャン
出演 : ローレン・ジャーマン、マイケル・ビーン、イヴァン・ゴンザレス、マイロ・インティミリア、マイケル・エクランド、アシュトン・ホームズ、コートニー・B・ヴァンス、ロザンナ・アークエット、アビー・シックソン
2012年6月9日よりシアターN渋谷にて劇場公開



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2 件のコメント:

  1. 日本のこの状況下で公開されるとは思っていなかったので、英語もわからないのにオリジナルDVDで観ました。見終わるのにゴールデンウィークを費やしてしまう結果になりましたが。全体的にはエンドオブザワールドに近いような気がしました。現実味があるのはディヴァイドですが。

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  2. 最後の女の行動が最悪
    何の助けにもならず男のお荷物になり最後は裏切り
    直接的な人殺しは人にやらせる
    最後は間接的に2人を殺す
    女の悪い所が集約された最悪のキャラクター
    頭狂ってる2人のほうがまだ人間らしい

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