2010/01/26

流行(トレンド)をテーマとした”ファッションゲーム”の名作~That's QT(ザッツキューティー)~



近年は”女性向け”を謳ったゲームが数多く発売されていますが、これぞ”女の子”向け!という「ファッション/おしゃれ」をテーマにしたゲームというのは、意外なほど数は多くありません。
おそらくゲームボーイ向けに発売された「きせかえ物語」というのが「きせかえ」というファッション要素を組み込んだ、初めての”女の子”向けゲームだと思います。
「きせかえシリーズ」として何作か発売されましたが、ゲーム性の深みというのは乏しく、その後恋愛シュミレーションなどを加えたりして、純粋に”ファッションゲーム”ではなくなっていきました。
「きせかえゲーム」は、ゲーム内で登場するファッションのおしゃれ感が重要な要素であるべきなのですが、実際の流行を取り込んでというのは、なかなか難しいようです。

最近発売された「プーペガール DS」は、アバターできせかえを楽しむAmebaのコミュニケーションサイトのニンテンドーDS版ということもあって”きせかえゲーム”として、アップ・トゥ・デートなセンスでの「きせかえ」が楽しめるゲームです。
ただ、基本的に「きせかえ」が目的なので、アイテムを購入するためのリボン(お金)を集めることが作業的になるのが退屈なのが残念かもしれません。
また、Amebaサイトのような”コミュニケーションゲーム”としての仕組みは「すれちがい通信」程度と殆ど無いに等しいです。

エレクトロニックアーツ社の「チャームガールズクラブ わたしのファッションショー」は、アイテムの色や柄をカスタマイズできる「きせかえゲーム」で、アメリカで制作されたこともありファッション性は日本製のゲームと比較すると「大味」の印象です。
ファッションショーでのポージングには”リズムゲーム”の要素を組み合わせていますが難易度は低いので、フラッシュを浴びてモデル気分を楽しむというのが目的の、薄っぺらい”ファッションゲーム”にしかなっていません。

ゲーム史上、最も売れた”ファッションゲーム”は、任天堂の「わがままファッション ガールズモード」でしょう。
ショップの店員となって、商品を仕入れをして、お客にアイテムやコーディネートを提案しながら販売していくというゲームです。
経営シュミレーション的なゲーム性は低めではありますが、仕入れの数や商品のバリエーションは結構考える必要があります。
しかし、やはりお客にコーディネートを提案を楽しむというゲームシステムは、今までいない”ファッションゲーム”らしいゲームとなっています。
各ブランドごとのイメージを把握して、お客のテイストや色の好みなどを理解することが、需要な攻略ポイントです。
ブランドごとのイメージやアイテムのパラメーターは、プレイを続ければある程度は理解できるようにはなっていますが、お客の中には好みのパラメーターが一筋縄ではいかないこともあって、洞察力が試されるゲーム性があります。
アイテムの種類とカラーバリエーションが多くて、無限のコーディネートが楽しめるのですが、ブランドや色合いを統一して提案すると”あり得ない”コーディネートでもお客さまが気に入ってしまうことがあるのは仕方ないのかもしれません。
それでも、コーディネートの楽しさとショップの仕入れ作業にゲーム性を持たせたことは、アパレル業界を舞台にした”ファッションゲーム”として、現在のことろ最も完成したゲームと言えるでしょう。
また、通信機能を使って、プレイヤーのコーディネートを販売できるネットショップを開くことが出来るので、”コミュニケーションゲーム”としての広がりを持たせているのは、さすがの任天堂ゲームです。

ここまで紹介した”ファッションゲーム”は、既存のゲームの要素を組み込みながらも、基本的に「きせかえ」を楽しむことを目的としています。
しかし、最後に紹介する「That's QT(ザッツキューティー)」は、流行(トレンド)というファッションに欠かせない要素をゲームに取り込んだ画期的な”流行シュミレーションゲーム”です。
元々、2000年にプレイステーション版がコーエーという大きなゲーム会社から発売されていたにも関わらず、長年レアゲーとして入手困難なゲームのひとつになっていましたが、2008年にニンテンドーDS版が発売されました。
「わがままファッション ガールズモード」よりも、ショップの経営シュミレーション色が強い「That's QT(ザッツキューティー)」ですが、もちろん「きせかえ」や「コーディネート」を楽しむ要素もあり、その上「流行(トレンド)をつくる」ことが目的のゲームとなっています。
キーワードとなる「言葉」や「色」を町でキャッチし(集めて)、そのキーワードと色からアイテムをデザインしていきます。
それらのアイテムをお店に陳列し、雑誌やモデルを使って宣伝したりしながら、自分のデザインしたアイテムや色を流行らせていくのです。
自分のデザインしたアイテムが売れて、町中にあふれる様子を眺めているのは達成感を感じさせます。
キャラクターの絵柄は三等身で細かなディテールまでは楽しむことは難しいのですが、キーワードからデザインできるアイテムが多く、色も多いので、その組み合わせで無限に近い流行が生み出せるのです。
流行(トレンド)というファッションの本質をゲーム要素として組み込んだ「That's QT(ザッツキューティー)」は、前にも後にも似たようなゲームが存在しない”奇跡的な名作”だと思います。



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