2012/02/29

祝・アカデミー脚本賞受賞!・・・ノスタルジックでロマンチックなファンタジーと人生の皮肉を紡いだ”ウディ・アレン”の職人技~「ミッドナイト・イン・パリ」~

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先日(2012年2月27日)行なわれた第84回アカデミー賞授賞発表授賞式・・・作品賞など主要な部門を含む5つのオスカーを獲得したフランスのサイレント映画「アーティスト」や、毎年のようにノミネートされているメリル・ストリープがサッチャー首相のモノマネ演技で、意外にあっさりと3度目の演技賞受賞など、何かと話題があったのだけれど・・・ボクが良い意味でサプライズしたのが、ウディ・アレンの3度目のオリジナル脚本賞の受賞です。アカデミー賞ノミネートの常連でありながら、授賞式には出席しないことで有名なウディ・アレンは、「アニー・ホール」(1977年)「ハンナとその姉妹」(1986年)以来の受賞でしたが、勿論、今年も会場には来ていませんでした。

ボク個人的には、1990年代始めに騒動になった公私のパートナーだったミア・ファローの連れ子(スン=イー・プレヴィン)との交際発覚(その後に結婚)以降、道徳的にウディ・アレンを受け入れがたく感じるようになってしまいました。血のつながっていないとは言っても「娘」のような存在であったパートナーの養女(当時21歳)と肉体関係を持つというのは、正直「人として如何なものか?」・・・・それもウディ・アレンは、すでに50代後半。さらに、発覚したきっけけというのが、ミア・ファローが養女のヌード写真をウディ・アレンの部屋から見つけたというのだから、下世話なメロドラマのような陳腐さでありました。そんなわけで・・・ボクは「マンハッタン殺人ミステリー」(1993年)以降は、めっきり彼の作品をリアルタイムで観ることもなくなってしまったのです。

興行的にウディ・アレン作品として最大のヒットとなっている最新作「ミッドナイト・イン・パリ」は、「カイロの紫のバラ」(1985年)や「アリス」(1990年)などの流れを汲むファンタジー路線・・・ひと言で言うと”タイムトラベル”のお話であります。

パリの街を愛情溢れる暖かな色彩で撮影した風景のスライドショーで本作は始まります。ニューヨークを第2の故郷と思うボクには嫉妬さえ感じてしまうほどです。それほど、全編に渡って、ウディ・アレンはパリを魅力的に映しとっています。場面はモネの庭園でパリに移り住むことを夢見ているジル(オーウェン・ウィルソン)と、彼の婚約者イネス(レイチェル・マクアダム)の会話となります。ウディ・アレンの脚本の素晴らしさというのは、この二人の数分の掛け合いだけで、二人の関係性や設定を、明確に説明してしまうところでしょう。相変わらず、入れ替わり立ち替わり登場人物は多いし、その関係性も微妙ではあるのですが・・・画面に登場してひと言ふた言の台詞で、そのキャラクターの人物設定から登場人物達の関係性が手に取るように明らかになってしまうのですから、これって凄いことです。

ジルはハリウッド映画のスクリプトの仕事で成功を収めているもものの、小説家としてひと旗揚げようと考えています。イネスの両親(カート・フューラー、ミミ・ケネディ)のビジネストリップに便乗して、イネスと共にパリに滞在して、すっかりパリの魅力に取り憑かれて、結婚後は二人で移り住むことを夢み始めてします。イネスの元カレのポール(マイケル・シーン)と彼の妻キャロル(ニナ・アリアンダ)と偶然パリで合流して、イネスはすっかり彼らと意気投合・・・取り残されたジルは、骨董屋で若いアルバイトの女の子と知り合ったり、真夜中フラフラとパリの街を散歩するようになります。

そんな、ある真夜中・・・ジルは1920年代のパリの街角にタイムトリップしてしまうのです。まぁ、難しい理屈はさておいて・・・F・スコット・フィッツジェラルドと妻のゼルダ(アリソン・ピル)と知り合いになり、ジルが崇拝するさまざまな芸術家たち・・・ガートルード・スタイン(キャシー・ベイツ)、アーネスト・ヘミングウェイ、T・S・エリオット、コール・ポーター、パブロ・ピカソ、ヘンリ・マチス、マン・レイ、ルイス・ブニュエル、サルバドール・ダリ(エイドリアン・ブロンディ)らと夜な夜な交流することになるのです。モディリアーニやピカソのミューズ(愛人)であったエイドリアーナ(マリオン・コティラード)には恋心を抱き合うよになり・・・現実の婚約者であるイネスとは、ますますギクシャクした関係になっていってしまいます。

ジルが1920年代のパリに憧れを抱くように、エイドリアーナはベル・エポックの時代(19世紀末期)に強い憧れを抱いています。そして、二人がデート中、1920年代から19世紀へとさらにタイムトリップしてしまうのです。現代のジルからすると、パリの黄金期は1920年代・・・おかしなもので、その1920年代に生きるエイドリアーナにとってのパリの黄金期は19世紀末期のベル・エポック時代というのは・・・「人は自らが経験することのなかった、ちょっとだけ過去の時代に憧れるものだ」ということでしょう。これはファッションでは常に繰り返されていることで・・・1980年代初頭、若者であった僕らの世代はアールデコのインテリアや、フィフティーズのファッションに憧れ、1990年代以降は1960年代、1970年代を振り返り、数年前からは1980年代がおしゃれに見える・・・若い世代は常に自分たちが生まれるちょっと前の時代に憧れを持つもののようです。

本作は思いもよらない、あっさりとしたエンディングを迎えて終わります。そこには練りに練ったドラマツルギーや、思わず膝を叩いてしまうようなオチよりも・・・「人生なんて、どうなるか分からないさ」という軽やかな人生観も感じられて、観賞後には、何とも言えない”いい気分”になれてしまうのです。


「ミッドナイト・イン・パリ」
原題/MIdnight in Paris
2011年/スペイン、アメリカ
監督&脚本:ウディ・アレン
出演   :オーウェン・ウィルソン、レイチェル・マクアダム、エイドリアン・ブロンディ、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロンディ、マリオン・コティヤール、マイケル・シーン、カーラ・ブルー二、マリオン・コティラード

2012年5月26日より日本公開



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