2011/05/24

”ジュリアン・ムーア”が、また不安な女性を演じる映画・・・性的なフラストレーションで心が病んでいく女性にシンパシーを感じてしまう!~リメイク版「クロエ」とオリジナル版「恍惚」~


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何故か10代半ば頃からボクは、性的にフラストレーションを感じる女性の心が病んでいく”キャラクター”に強いシンパシーを感じてしまうのであります。リアルでは、性的な抑圧やフラストレーションとは無縁だし、性的なことが要因にして心が病んでいるようなこともありません。このような嗜好のルーツは「欲望という名の電車」というヴィヴィアン・リー主演の映画(おかしのみみ参照)であることに、最近になって自分でも気付いたのですが、どうしてボクがそういうキャラクターに惹かれ同化してしまうかの理由は分かりません。ただ、こういう女性像は映画向きの題材ではあるようで・・・いつの時代にも”手を替え品を替え”いくつも作られているようです。

「クロエ」は、ボクの好きな女優のひとり”ジュリアン.ムーア”と”リーアム・ニーソン”出演のサスペンス映画です。ここのところ、ジュリアン・ムーアやリーアム.ニーソンが出ているサスペンス映画というのが、やけに量産されている印象があって・・・「また?」と思ってしまったのですが「クロエ」は、ボク好みの女性”キャラクター”が描かれる「エグイ映画」であったのです。ひとり息子にも恵まれ、郊外のスタイリッシュな家に豊かに暮らす中年夫婦・・・しかし、今ではすっかりセックスレス・・・日本人の同世代(50代)の夫婦であれば”当たり前”というか、高校生の息子がいるのにエッチしまくっている中年夫婦のほうが珍しいと思ってしまいます。

大学教授の夫(リーアム・ニーソン)の浮気を疑う女医の妻(ジュリアン.ムーア)は、怪しいクラブで娼婦クロエ(アマンダ・セイフライド)を雇って夫を誘惑させて、一部始終を報告をさせることにします。化粧を落としたクロエは透明感のある美しい若い女性・・・夫はあっさりとクロエに誘惑されてしまい、公園にある温室の中で”手こき”でイカされちゃうという始末なのです。妻はクロエに尋ねます・・・「何故、そんなに簡単に男を堕とせるの?」と。「その人の良いところを見つける・・・そして親切に接して評価はしない」というクロエの答えは妻の心を痛くさせます。若くて、美して、その上、人としても正しく優しいのだから・・・敵うわけないのです。

ボクの勝手なイメージですが・・・リーアム・ニーソンって、いかにも巨根で絶倫のアイリッシュ系って感じで、真面目な役を演じていても下半身だけはビンビンそうに思えてしまうのです(くどいようですが、あくまでもボク個人的な印象です)。だから「浮気しているはず!」って思えてしまうのであります。

ジュリアン・ムーアは白人女性にありがちな、加齢とともに水分不足がちになり視覚的にも内面的にもカラカラに乾いたイメージ・・・性的にフラストレーションや不安を抱えた女性を演じさせたら右に出る者はいません!それ故に、クロエから夫の浮気の詳しい状況を聞かされて、性的に興奮してしまうところもなんて、妙にリアルに生々しいのです。クロエは夫だけでなく、妻をレズビアンセックスに誘導するのですが・・・ジュリアン・ムーアは「キッズ・オールライト」に続いて、またレズビアンセックスに興じております。肉体派というわけでもなく、正統的な演技派女優であるのに、あっさり脱いじゃうところも”ステキ”です。

家族崩壊へと導く恐ろしい”毒女の本性”を剥き出しにするクロエ・・・遂には夫婦のひとり息子まで誘惑してエッチしてしまいます!まるでパゾリーニの「テレオマ」みたいな”やりたい放題”・・・エロチック・サイコ・スリラーとしてドロドロになっていくのですが、最後には収まるべきところに収まってしまったのには、肩すかしのような感じではありました。

実は「クロエ」は、2003年製作のフランス映画「恍惚/原題 Nathalie(ナタリー)」をリメイクした映画なのです。オリジナル版で中年夫婦を演じるのはファニー・アルダンとジェラール・ドパルデュー(トリュフォーの「隣の女」で共演)という”渋さ”・・・娼婦役はエマニュエル・べアールであります。このキャスティングでも分かるように、オリジナル版とリメイク版は、映画としては”別物”といって良いでしょう。

女性監督(アンヌ・フォンティーヌ)ということもあり「恍惚」は、”官能小説”のような妻の性的なアバンチュールの物語・・・夫の情事を報告させるということで、娼婦と妻のあいだに次第に生まれていく「女性同士の友情」も描く女性映画なのであります。娼婦と夫の情事の具体的な描写は一切なく(ここが本作のミソでもあります)情婦の言葉によってのみ語られるのみなのですが・・・その説明がポルノ映画のようにエロくて下品!夫と妻ではしないような大胆なセックスの描写を、大女優二人が台詞で語るというのがフランス映画的なエロスであります。

妻と娼婦は外見的にも”貞淑で上品な妻”と”奔放で下品な娼婦”というステレオタイプで描かれていますが・・・夫という「男の存在」を介して「ライバル」である二人の女性が「友情」も育んでいくのです。妻は娼婦との友情関係よって、自分の中にあった”性の欲求”に目覚め、夫の愛情の深さにも気付いていきます。「恍惚」は、妻の立場から描かれた”女としての成長物語”として、フランス映画らしい「大人の世界」を描いているのであります。

リメイク版「クロエ」はオリジナル版「恍惚」と物語のきっかけは同じ設定でありながら・・・もっと下世話に妻の”中年女性”としての性的フラストレーションにスポットライトを当てています。そして、よりサスペンス要素が強くなっているところが、男性監督(アトム・エゴヤン)らしいと言えるでしょう。物語の流れはクロエが軸となって語られるのですが・・・すべては妻の性的なフラストレーションをきっかけに始まった毒女のような化け物”との悪夢のように思えてしまうのです。そして、最後に”その毒女”は妻に乗り移ってしまったかのようであります。

「聖女」と「悪女」の危うい女性のセクシャリティーの対比が見え隠れしている・・・ボクにとっては、まさに”ツボ”にハマる映画なのでありました。

「クロエ」
原題/Chloe
2009年/カナダ、アメリカ、フランス
監督 : アトム・エゴヤン
出演 : ジュリアン.ムーア、アマンダ・セイフライド、リーアム・ニーソン

20011年5月28日より全国順次ロードショー
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「恍惚」
原題/Nathalie
2003年/フランス
監督 : アンヌ・フォンティーヌ
出演 : ファニー・アルダン、エマニュエル・べアール、ジェラール・ドパルデュー


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