2011/04/30

やっと日本公開、TVゲームさながらの”おバカ映画”・・・実は「OTAKU=COOL」な世界観の男の子の成長物語~スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団~


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「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」は、アメリカでの興業が振るわず日本公開が危ぶまれていていましたが、やっと日本公開であります!

原作は、日本のコミックに影響を受けたアメリカンコミック・・・ハチャメチャ世界観のいわゆる”おバカ映画”となっています。主人公スコット・ピルグラムが一目惚れしたラモーナには、邪悪な元カレが7人もいて、その全員を倒さなければ彼女とは付き合えないというのであります。それも元カレ軍団は、皆スーパーヒーロみたいな超能力者たちというアリエナイ設定。でも、主人公のスコットも何故か格闘ゲームのキャラクターのように、メッチャ強いし、不死身だったりするので、何の問題なく元カレ軍団と戦っていけるのです。つべこべ言わずに独特の世界観を楽しむべき・・・いろんなパロディ要素や引用部分は分かっていれば、より一層楽しめるというノリだったりします。ただ「キック・アス」的なオタク”萌え”を期待すると・・・ちょっと違うかもしれません。

ストーリー自体は、ベタな男の子の成長物語・・・主人公が好きな女の子のために男として、自分自身のこと知って、相手の気持ちも理解出来るようになるという、よくある話なのではあります。原題は「Scott Pligrim vs. the World」でありま・・・日本タイトルのような「邪悪な元カレ軍団」に立ち向かうということが「主題」というよりも「the World/世界」と向かい合っていく話であることは明らかなのですが・・・。

スコット・ピルグリム(マイケル・セラ)は、まるで絵に描いたようなウジウジした優柔不断な気弱男子「WIMPY(ウィンピー)」ですが、実はバンドをやっているかなりクールな22歳の男子・・・実際のところルックスほど「GEEK(ギーク)」でも「NERD(ナード)」というわけでもありません。元彼女は人気バンドのリードシンガーだし、ストーカーのような女子には追いかけられているし、17歳の中国系女子高校生に惚れられているし、実はかなりのモテ男なんです。そのあたりが、物語としての説得力が欠けるというか・・・共感しにくいということはあるかもしれません。それにスコットを好きな女の子たちを、あっさりと振ってしまって「めでたし、めでたし」というのも、なんとなく釈然としなかったりします。

本作では当たり前のように、スコットのゲイのルームメイトのウォレス(マコーレー・カルキンの弟のキーラン・カルキン演じる!)が登場します。スコットの妹のボーイフレンドはウォレスに誘惑されてゲイに寝返っちゃうし、スコットとシェアしているベット(!)には代わる代わる違うボーイフレンドが泊まりにくるし、なんともあっけらかんとしています。ゲイキャラクター自体が特別な存在でもなく、ましてや「オネェ系」の道化的な笑いのために存在しているわけでもありません。また、ゲイについて何か考察するような映画でもない・・・こういう自然な描写や存在が、スコット・ピルグラムの漫画的世界にあって、妙なリアリティを醸し出していたりするのです。

スコットが組んでいるバンドが「SEX BOB-OMB」という日本語だと「セックスばくだ~ん」みたいなベタなネーミングのバンドなのですが・・・このバンドのリードシンガー/スティーヴン役のマーク・ウィバーの頭が悪そうでとぼけた雰囲気が、結構ボク個人には”ツボ”でした。まぁ、犬面で髭がタイプという単なるボクのシュミなのですが。
舞台がカナダのトロントということで、どことなくボクが美術大学に通っていたメイン州ポートランドを思い起こさせました。今から30年近く前の話ですが・・・ボクの同級生や当時のポートランドにいた若者たちも、スコットを取り巻く若者のように、どこかしら「サブカルの空気感」を漂わせていることが”クール”なことでありました。時代が変わり、”オタク/OTAKU”と呼ばれるようになっても、アメリカのこの世代(20歳前後)の”クール感”というのは、30年前とそれほど変化していないのかもしれない・・・なんてボクに思わせてくれたのでした。

スコット・ピルグリム VS 邪悪な元カレ軍団
原題/Scott Pligrim vs. the World
2010年/アメリカ
監督 : エドガー・ライト
原作 : ブライアン・リー・オマリー
出演 : マイケル・セラ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、キーラン・カルキン、マーク・ウェバー、アリソン・ピル、齋藤慶太、斉藤祥太


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