2012/04/16

ゾンビ視点のホモソーシャルなバディムービー2作!~「ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春/Dead Heads」「ゾンビ処刑人/The Revenant」~


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1970年代後半にティーンエイジャーだったボクにとって「ゾンビ」といえば、ジョージ・A・ロメオ監督の「ゾンビ/Dawn of the Dead」に尽きます。屍が生き返って人々を襲う・・・というのは、おそらく、ハイチのヴードゥー教の魔術が元になっていると思うのだけど、ボクにとって「ゾンビ」と存在は、ロメオ監督が1968年に製作した「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/Night of the Living Dead」によって定義づけられたのであります。人を襲って肉を食らうという「カニバリズム」、食われた人がゾンビになるという「伝染性」、脳を破壊しなければ襲い続けるという「理性の欠如」・・・これらの特徴こそが「ゾンビ」であるのです。

2000年以降、再びゾンビ映画が数多く製作されるようになると・・・ゾンビ映画として異色な作品も生み出されるようになりました。ゾンビがペットとして重宝されているホームコメディ風の「ゾンビーノ」を始め、「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ゾンビランド」のように、元祖となるゾンビに敬意を払いながら、ゾンビコメディ映画というジャンルが確立されたのです。サイコホラーにも散々見飽きて、何でも映像的には表現できてしまうCGの発達した時代に、「死人が人を襲う」なんて陳腐な恐怖を、真剣に怖がるなんてこと自体が、ギャグみたいなものですから、コメディ路線にゾンビ映画の活路を見出すというのは、自然な流れでもあると同時に、末期的な方向性なのかもしれないと思わされるのであります。ただ、最近ではコメディ路線も、もうお腹いっぱいという感じかなぁ・・・と思っていたところ、最近「ゾンビ視点」という新たなゾンビ映画の切り口が登場してきたのです。

「ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春/Dead Heads」は製作されたアメリカ本国では、劇場公開なしのDVDスルーだったのですが、日本ではシアターN渋谷のモーニング&ナイトショー限定(2012年4月14日より)ではあるものの、堂々と正式劇場公開作品ということになりました!監督と脚本のピアーズ兄弟というのは「死霊のはらわた」のSFXアーティストを義父に持つ「ゾンビ界の寵児」と言われており、監督など主要スタッフとして関わったのは、本作が第1作目であります。

主人公/マイク(マイケル・マッキディ)はハーフ・ゾンビ・・・理性の欠如した普通のゾンビではありません。彼はゾンビでありながら、生きていた時の記憶や理性を持っているハーフ・ゾンビなのです。マイクは婚約しようとしていた高校時代からの恋人エリー(ナタリー・ヴィクトリア)の父親によって射殺され、ゾンビと化してしまったのですが・・・埋葬3年後にゾンビとして目覚めた時には、彼自身は自分がゾンビであるという自覚さえなく、また殺された時に記憶というのもハッキリ思い出せません。やたら陽気なブレント(ロス・ギダー)も、マイクと同じように理性をもったままゾンビ化しているハーフ・ゾンビで、ゾンビの先輩としてマイクにあれこれと指南するうちに、ホモソーシャル的な男同士の友情が生まれていくのです。

ポケットの中に入っていた婚約指輪を見つけたマイクは、死ぬ前にエリーにプロポーズしようとしていたことを思い出し、ブレントとと共に彼女の元へと向かうこととなるのですが・・・何故か彼らを狙うハイテンションなゾンビハンター達に狙われることになります。彼らから逃げては追いかけられの繰り返しという、なんとも正統的な”追いかけっこ”を繰り広げることになります。しかし、本作はゾンビ映画・・・自分の腸を引っ張り出してロープ代わりにしたり、腕がもげようと何度くっつけたりという「グロおかしな」笑いを生んでいくに斬新な展開になっているのです!

主人公であるマイクとブレント以外で登場するゾンビは、ロメオ監督の定義しゾンビで、ノロノロと動き回りながら人を襲って食い、食われた人はゾンビ化するという「ゾンビ映画」としてまったくもって正しいゾンビ映画でもあるのですが・・・物語としては男が男の友情に支えられて女に告白するという、甘酸っぱい青春ラブコメディであり、ゾンビ映画の新しい方向性を示した作品と言えるのではないでしょうか?

さて・・・もう1作。邦題が”パッとしなかった”ために、見逃してしまっていた「ゾンビ処刑人/The Revenant」は「ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春」より以前(2009年)に製作/日本公開されていた作品で・・・こちらも理性をもったままのゾンビ”が主人公の「ゾンビ視点」の映画でした。

イラクで戦死したバート(デヴィット・アンダース)は埋葬された夜に蘇ってしまいます。自分に何が起こっているかも分からないまま・・・親友のジョーイ(クリス・ワイルド)を訪ね、居候を始めることになるのです。バートは普通の食事は受け付けなくなっていて、血液を吸うことで体の腐敗から回復できることが分かってきます。原題の「Revenant/レヴァナント」とは「死から蘇ったもの」という意味で、人肉を食らうよりも血を吸うという存在であることから、ゾンビというよりもヴァンパイアっぽい感じもします。看護士で友人のマティは、本来死んでいるバートは葬られるべきだとして、ジョーイに首を切り落とせとアドバイスしますが、バートの恋人のジャネットは、何か手段があるはずだと聞き入れません。

レヴァナントとして生きることにしたバートは、病院から輸血用の血液を盗んだりもするのですが・・・ホームレスを騙して血を吸おうとして失敗した夜、メキシコ人のギャングに襲撃されてしまいます。ただ、バートは死ぬことはなく、逆にギャングを撃退し、まんまと血を吸うことができるのです。これを期に、バートは強盗、暴漢、麻薬の売人などの悪人たちを殺して血液を手に入れるようになります。ただ、血を吸った後は、首を切り落として、死体を廃棄しないとゾンビとして蘇ってしまうことは言うまでもありません。ある夜、ジョーイは致命傷を負って死にそうになってしまいます。そこで、バートはジョーイ噛み付きゾンビ(レヴァナント)化して、ふたりは、不死という能力を武器に悪党退治の「夜回りガンマン」として、夜のロサンジェルスを徘徊するようになるのです。ここまでは、ちょっとグロテスクなアメコミ・ヒーローもののようなノリのアクションとコメディなのですが・・・唐らが、麻薬の売人と間違って警官を殺してしまったことからシリアスでドラマチックな展開となっていきます。

ここからネタバレを含みます。

「夜回りガンマン」の正体は、バートとジョーイではないかと怪しんだ友人のマティが警官殺しの現場に現れ、真実を恋人のジャネットだけでなく、マスコミにもバラしてやると脅しにかかります。焦ったジョーイはマティを射殺・・・ふたりは街を出ることにします。しかし、恋人のジャネットから自分の血を吸うように勧められたバートは、思わずジャネットに吸血してしまうのです。ジョーイとしては”男ふたり”夜回りガンマンをして吸血しながら、でラスべガスで楽しくやろうと思っていたので、ジャネットまでゾンビ化させたバートと拳銃を打ち合う大喧嘩となってしまいます。バートもジャネットまでレヴァナントにしてしまうのは不憫だと、仕方なく首を切り落とすのです・・・。

バートと分かれたジョーイは、最初に殺したメキシコ人のギャングが蘇ったレヴァナントに復讐されてしまいます。体をバラバラに切断され、首だけがバートの元へ届けられます。何故か首だけになっても”死ねない”ジョーイ・・・声帯もなくして、ヴァイブレーターの振動でしか声が出せない状態になってしまっています。そんな自分を殺してくれと、ジョーイはバートに懇願します。「愛していた」なんて友情以上のホモソーシャルな関係を感じさせる言葉のあと、バートは巨大ローラーでジョーイの首を踏みつぶして、殺してあげるのです。

その後、バートは絶望・・・拳銃、首つり、飛び込みなどで自殺を図りますが、勿論、そんなことで死ねるわけありません。地下鉄で乗客を襲ってしまったバートは、大人数の警官達に追い詰められて、トンデモナイ銃撃戦になります。自殺しようとしていたくらいなら、素直に捕まれば良いのに・・・何故か逃げ回ります。結局、最後には囚われるのですが・・・その次シーンで、思いもしないような展開となります。政府はゾンビ(レヴァナント)達を捕まえて、研究していたのようなのです。そして、集められたレヴァナント達はカプセルに閉じ込められ、兵器としてイラクの地で解き放たれる・・・という情景で映画は終わります。

戦争映画のようなエンディングを迎える「ゾンビ処刑人」は、ゾンビ映画として異色な「ゾンビ視点」というだけでなく、派手なアクションやコメディ要素も含み、哲学的、ときには、政治的なメッセージ性をも持つという、なんでもかんでもぶち込んだ欲張りな映画でした。ゾンビ映画って・・・ホント、奥が深いものです。

「ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春」
原題/Dead Heads
2011年/アメリカ
監督&脚本 : ブレッド・ピアス、ドルー・T・ピアス
出演    : マイケル・マッキディ、ロス・ギダー、マーカス・テイラー、トーマス・ガラッソー、ナタリー・ヴィクトリア


「ゾンビ処刑人」
原題/The Revenant
2009年/アメリカ
監督&脚本 : ケリー・ブリオー
出演    : デヴィット・アンダース、クリス・ワイルド、ルイーズ・グリフィス、エミリアーノ・トーレス、ジェイシー・キング




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