2012/10/23

敷かれたレールの乗っているからこその”ヒエラルキー”と”同調感”・・・学生時代の呪縛からは大人になっても逃れられていない!?~「桐島、部活やめるってよ」~



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最近、映画館に足を運んで映画を観ることって少なくなりました。ボクの視力が悪くなったのか、老眼のせいなのか、スクリーンに映される画像が、自宅の大型液晶テレビで観る画像より、ぼんやりと見えてしまうということが、ひとつ。死ねコンプレックスが増えて、映画館で上映されている作品自体は増えているように感じるのだけど、公開から日にちが経つと一日の一度しか上映など変則的なスケジュールだったりすることが多いことがあるかもしれません。

そして何よりも・・・ネットを通じて、作品の評判を耳にしてしまうと・・・良い評判でも、悪い評判でも、結果的には良い方に転ばないことが多いということもあります。ボク自身、公開前の作品について、ネタバレ気味に感想を書いていることもあるので、批評や感想をネットで公開することを否定出来る立場ではありませんが・・・良い評判を聞くと、期待度が高くなって、実際に観た時のハードルが高くなりがちです。何も知らずに観れば、新鮮な驚きとともに、とっても良かったと思える作品でも、評判ほどではない・・・とか、マイナスへ働きがちだったりします。逆に、悪い評判ばかりを聞いてしまうと、観ようと思っていた作品でも、観る意欲が一気に失われたりします。だったら、観たいと思っている映画については、極力評判などは観ないようにするべきというのは分かっているんだけど・・・気になってしまいます。

「桐島、部活やめるってよ」は、公開時には殆ど気にしていなかった作品でした。しかし、いろんな人の評判があまりにも良いので気になってきた時には、すでに上映しているのが都内では単館での、それも一日一回しか上映でしかなく、連日満員売り切れ状態となっていました。10月に入ってから再び拡大上映という異例な作品で、2012年の邦画ベストワンの呼び声も高まってします。ただ、これほど期待度のハードルを上げられた状態で観たことが災いしてか・・・ボクの観賞直後は「ふ~ん、スゴく上手に作られた映画だけど、話としてはコジンマリしているなぁ」という印象でした。しかし、原作本を読んでみて、本作がいかに映画的表現によって原作以上に細かな心理を表現していたことを、改めて感じたのです。

原作は2009年の小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウの同名小説・・・受賞当時19歳の現役大学生が同世代の気持ちを表現した作品は、正直ってボクのようなアラフィフのおじさんには、文章のテンポに違和感があって、大変”読み辛い”小説でした。バレー部キャプテンの桐島が突然理由も告げずに部活をやめたことにより、学生たちに起こる波紋を描く群像劇であるのですが・・・桐島本人は登場しないというところが「ゴトーを待ちながら」風になっています。映画化にあたって、吉田大八監督は説明的なモノローグの台詞などを一切排除し、ひとつの出来事が起こった状況を各キャラクター視点によって繰り返し描くことにより、その場にいたそれぞれのキャラクターの心情を痛々しいほどリアルに観客に伝えることに成功しているように思います。それ故、ストーリーを追っていくというよりも、各シーンごとに浮き彫りにされる登場人物たちの内面を垣間みることが醍醐味という感じ・・・観客によって感情移入出来るキャラクターがあるだるし、説明し過ぎていないので観客が感情的に余白を埋めていくということにもなるようです。

本作で描かれるのは、生徒によって築かれている学校内のヒエラルキー(格差社会)・・・ルックスが良くて、運動ができる(他に勉強ができる、家がお金持ちとか)というヒエラルキーの頂点に君臨する者がいれば、見た目がイケてなくて、運動が苦手という下層に属さなければいけない者がいるというのは、青春時代に誰もが感じさせられることかもしれません。そして、同調感を保つことで仲間はずれにになることもなく所属するグループに存在できる・・・それって、学生時代に限らず、会社や仕事場でも誰もが無意識に行ってしまっていることかもしれません。ヒエラルキーを意識して同調感によって人との関係を成り立たせることは、大人にあってからも人間関係の基礎だったりするので、本作は年齢を超えて共感を呼ぶのかもしれません。学生時代に感じた理不尽な呪縛から逃れたいけれど・・・結局、大人になっても、ヒエラルキーを無視することは出来ず、同調感によって人間関係の潤滑油にしていることには変わりないのです。だからこそ、本作に強い思いを感じる人が多いのかもしれません。

ボク自身はというと・・・高校時代に登校拒否になり、その後に海外留学という「反則技」を使ったので、世間一般的にいう”敷かれたレール”から自ら外れてしまいました。それ故に、日本社会のヒエラルキー感覚や同調感によって成立させる人間関係とは、一歩も二歩も引いたところにいるような気がしています。利害が発生する関係であっても、立場的に上の人に”おべんちゃら”を使って同調感を築くことに、どうしても抵抗感を感じてしまうのです。ただ、ビジネスに於いて力関係に従うのは当然のこと・・・ヒエラルキー感覚と同調感に優れていることで、業界的に成功している人というのも多いのは当たり前なことなのです。”敷かれたレール”から外れてしまったボクの生き方は「やり方が下手くそねぇ」ってだけのことなのかもしれません。


「桐島、部活やめるってよ」
2012年/日本
監督 : 吉田大八
脚本 : 吉田大八、喜安浩平
出演 : 神木隆之介、橋本愛、東出昌大、清水くるみ、山本美月


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