ローランド・エメリッヒ監督にとっては「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」に続く、三度目の「世界崩壊」になりますが、これが決定版ということでしょう。
太陽からのニュートリノが過剰に降り注ぐことで地殻異変が起こって大陸プレートが動き出す・・・という設定の今回は、大地震、火山大爆発、大型船転覆、大津波、大吹雪、大陸移動と、今回のは、まさに「全部入り」の豪華なてんこ盛りです。
「ノストラダムスの大予言」世代の僕らにとっては、お馴染の「世界崩壊」ではありますが、今回は「マヤ歴の予言」を持ち出してきたところが、”目新しい(?)”切り口なのかもしれません。
また、このマヤ歴の「2012」という数字に便乗して、人類は宇宙人の遺伝子から誕生したとか、選ばれた者は5次元へのテレポーション(アセンション)するなど・・・「ノストラダムス」以上に突拍子もないカルトな論理を繰り広げる人達も出てきています。
当った占いや予言は記憶に残るけれど、ハズれた占いや予言は忘れていく人間は、太古から自然の脅威に恐れて「世界崩壊」の不安を持ちながら、反省して過ちを繰り返し、これからも行き続けていくのでしょう。
映画「2012」は、とにもかくにも「世界崩壊」の大宴会状態なわけでありますが・・・政府高官や大金持ちが「ノアの箱船」によって自分たちだけ生き残ろうとする「エゴの愚かさ」と、一般市民(ジョン・キューザック演じる)がカタストロフィーの危機のなかで家族の絆が取り戻されていく「家族愛の素晴らしさ」という、ハリウッドお得意の定番要素が分かり易く盛り込まれています。
また、巨大空母が津波に流されてホワイトハウスを潰すというアメリカ国家の弱体化を皮肉りながら、ノアの箱船を制作しているのが「あの国だったのか〜!」という納得のサプライズ(?)も用意されているのです。
予告編で繰り返し放映されている地盤崩壊から逃げるシーンは、昔のジェームス・ボンド(007)の映画以上に、あり得ないコンマ1秒のタイミングで困難に次ぐ困難をものの見事に逃げきります。
これほど人類史上最も運の良い(?)主人公ですから、勿論、生き残ってハッピーエンドを迎えることになるわけですが・・・箱船を氷河との大衝突から救ったにも関わらず、特にヒーローとして描かれているわけでもありません。
人間ドラマを複雑に組み込みながらも、たいして誰も印象に残らない・・・「世界崩壊」こそが、この映画のテーマであり、真の主人公であるようです。
映画が終って冷静に振り返ってにみると、トンデモなくご都合主義のストーリーの映画ということに愕然します。
しかし、紋切り型の感動を盛り込みながら、お約束の世界崩壊は全部入れて、2時間半以上の長尺を飽きることなくアドレナリン出しっ放しで楽しましてくれるのは、さすがの「ハリウッド仕上げ」と言えるでしょう!
0 件のコメント:
コメントを投稿