ハロウィンというイベントは、今ではスーパーマーケットにハロウィンのお菓子コーナーがあったり、東急ハンズとかでは仮装用のコスチュームが販売されていたりしますが、僕が子供の頃には日本では殆ど知られていませんでした。
今どきの日本の子供にとっては、単に仮装して集まってお菓子を貰えるイベントなのでしょう・・・家の近所の英語スクールでは、仮装した子供達を公園に集めていますが、家々を歩いてまわって「Trick or Treat?/お菓子をくれないとイタズラするぞ!」とやっている様子はありません。
あくまでも、内輪のパーティー感覚のイベントのようです。
長年、僕はアメリカで生活していましたが、ハロウィンの仮装したのはニューヨークに住んでいた約20数年前に、たった一度しか経験がありません。
ドラッグクィーンの美容師の友人がいてメイクとヘアセットを頼めたことと、知り合いのミュージシャンから撮影用のかつらを借りることができたので、友人とテーマを決めて仮装しようということになったのです。
衣装や靴にはお金をかけられなかったので、ディスカウントストアで安く買うことの出来た、看護婦用の白衣、ナースハット、ナースシューズを購入して「白衣の天使」に扮することに決めました。
僕は赤ん坊の人形と浣腸器も買って、ホラーな演出も加えることにしたのです。
ハロウィン当日、仲間全員の準備が終わったのは夜の9時過ぎ・・・グリニッジビレッジで行われていたパレードは、すでに終わっていました。
そこで、ハロウィンの夜、ニューヨークで一番盛り上がるクリストファーストリート(当時、一番のゲイエリア)に繰り出すことにしたのです。
7番街のストリートの入り口に到着してみると、あちらこちらに女装をしたグループが、カメラのフラッシュを浴びたり、観客達を盛り上げていました。
僕は負けるものか(?)と、道の真ん中に飛び出して赤ん坊の人形と浣腸器を振り回してみると・・・「浣腸して~!」と、たくさんの人が集まってきたのです。
浣腸マニアの看護婦になりきって数百メートルのストリートを歩いたことで、一生分のハロウィンの楽しさを味わったようなひと晩でした。
10月31日というのは、元々、カトリックの聖人を祝う日とケルト民族の大晦日だったそうなのですが、アメリカへ移住した移民によってハロウィンの習慣となったそうです。
この時期には、日本のお盆のように死者や魔物がこの世に戻ってくると考えられているので、魂を取られないように魔物に似た「化け物」の仮装するようになったらしいのです。
ハロウィンに「女装」というのは・・・考えようによっては、ちょっと皮肉な行為なのかもしれません。
註:二枚の画像は看護婦の女装をした20数年前の「僕」です・・・あしからず。