サイレントからトーキー、モノクロからカラー、カラーからシネラマなどの大画面、そして次の映画の進化といわれる「3D映画」・・・来年には3Dの表示可能な家庭用の薄型テレビが発売されるということなので、立体画面というのは「未来の夢」ではなく「現実の技術」と言えるでしょう。
これから年末にかけて次々と3D映画が劇場公開されますが、その第一弾として公開された「ファイナル・デッドサーキット3D」を観てきました。
3Dという特殊な映像のため、日本での公開されるのは観客が台詞の字幕を読まなくて済む「日本語吹き替え版」だけでの上映です。
それは仕方ないことなのかもしれませんが、吹き替え声優のココリコ田中、里田まい、はるな愛(男役)が、あまりにも下手なので、元々ティーン向けの内容のないホラー映画がコントみたいになっていました。
ただ、映画の内容に期待していたわけではなく、あくまでも3D映像を実際に観ることが目的だったので、この程度の”なんちゃって感”は想定内ではありました。
さて、純粋に3D映画としての印象ですが・・・1970年代に一時期流行った”赤セロファン”と”青いセロファン”を付けたメガネを付けてみる「立体映画」からは進化しているものの、相変わらず観賞には特殊なメガネを必要とします。
3D映像の広告では、画面から飛び出してくる様子や、手で触れるほどの臨場感を強調していますが、実際には画面の長方形の枠の内側の物体がポップアップ絵本のように奥行き感を感じさせるという程度です。
確かに、視覚的なショックを売り物にしたホラー映画と3D映画というのは相性は悪くはなくのですが・・・立体的に見せることを意識し過ぎたイカニモ的な演出(体に刺さった杭がこちらに飛び出してくるなど)ばかりになってしまうところは、やはり子供だましでした。
今後、3Dを映像表現として効果的につかった成熟した映画が登場するのかもしれませんが、テクノロジーの進化が表現を豊かにするわけではないことは、すべての分野に共通していることだと再確認しました。
例え、3D映画が劇場用映画の主流になったとしても、サイレント映画のモンタージュや構図の魅力は失われないし、モノクロ画面の美しさは未来の人達をも感動させるはずなのだから。