2009/08/25

海老蔵、睨みまくり!~石川五右衛門/新橋演舞場~



天下の大泥棒を主人公に・・・「金田一少年の事件簿」などの漫画の原作者と29歳の演出家による新作歌舞伎「石川五右衛門」は、新しい”古典歌舞伎”のスタイルを感じさせる一大歌舞伎エンターテイメントでした。
話の筋や辻褄などの細かいことにこだわらないで、とにかく一場面ごとに海老蔵らしい見せ場を楽しむというのが醍醐味のようです。

五右衛門の釜ゆでシーンから静かに始まるものの、まずは時間を遡ります。
伊賀の忍術を百千三太夫に五右衛門は師事します。踊りまくり、立ち回りを見せまくり、睨みまくり、霧隠才蔵との戦いの試練に勝った五右衛門は、秀吉を一泡吹かせようと、いよいよ京に上ります。
五右衛門は秀吉の側室の茶々に近づき、恋仲になり懐妊させてしまいます。茶々との絡みでフェロマン出しまくります。
五右衛門が秀吉に対面を申し出たところ、実は五右衛門は秀吉の息子で茶々の腹の子は秀吉の孫である事を明かすのです。まぁ、そんな馬鹿な!といいうところですが、秀吉を演じるのが、海老蔵の実際の父親である団十郎が演じているというのがミソです。
その後、金のシャチホコと荒々しく滝の中で派手に戦い、大見えを切りまくり、睨みまくります。
そして、天守閣での大捕りものを演じるのですが、スモーク炊きまくり、分身の術で五右衛門が10になったりと、目まぐるしい大立ち回りです。
最後の大詰めで、冒頭の釜ゆでのシーンに戻るのですが、火を焚くと釜が真っ二つに割れて、つづみが空を舞います。
最後は花道の上に、大きなつづみが宙に浮きいていて、パカリと開くと五右衛門が隠れており、宙づりになりながら・・・またまた大見えを切りまくり、高笑いをして逃げていくのです。

浄瑠璃と長唄が全編に渡ってストーリーを説明し、芝居の型も古典な歌舞伎のスタイルであるのですが、見せ場ばかりを繋げたような大胆な構成になっています。
どの場面を切っても、海老蔵が金太郎飴のように出てきて、海老蔵が睨みをきかせまくるので、インフルエンザにもかかる心配はなくなったのではと思うほどでした。
(新春に睨まれると風邪をひかないと言われるので・・・)
海老蔵のために書かれたお芝居を、海老蔵のために演出し、海老蔵が魅力を惜しみなく発揮しまくっています。
猿之助や勘三郎とは一味違う古典歌舞伎の魅力を凝縮した海老蔵ワールドが見事でした。

新橋演舞場八月歌舞伎公演「石川五右衛門」
市川海老蔵、市川団十郎、中村七之助、片岡市蔵、市川猿弥、市川右近
2009年8月8日~27日

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