「Museum of Arts and Design」で行われている「Object Factory : The Art of Industrial Ceramics」は、磁器メーカーとデザイナー/アーティストのコラボレーションによる作品の展示会です。
職人芸のノスタルジー的な”古き良き味わい”の再現(日本の伝統工芸などでありがちな?)ではなく、伝統的な技法と新しい技術を駆使して、大人っぽい遊びを感じさせる「オブジェ」としてのアーティスティックな作品が新鮮でした。
ポーランドのEdyta Cielochによる「Spanish Lace」と名付けられたポーランドの磁器メーカーのロココ調のリリーフのデザイン部分を残して切り抜いたティーセットは、本来の実用性を排除したコンセプチュアルな作品で、よりデコレーションの造形とオブジェとしての存在が際立っていました。
もう一人、ポーランドのMarek Ceculaによる「Beauty of Imperfection」というティーセットは、水圧によって、あえて穴を開けたり縁やハンドル部分を削ることで不完全な美を表現しているということですが、戦争や災害を生き残った遺品のような不気味な印象を与えます。
Vika Mitrichenkaによる、カラフルな磁器を”金継ぎ”のようなテクニックで歪に合わせたティーセットは「Grandmother's Treasures」と名付けられている通りノスタルジーではありながら、その脈略のない組み合わせ方が、何故かモダンさを感じさせる作品です。
白い陶器の器に規則的に丸い穴を開けて「ニードルポイント刺繍キット」にしてしまっている作品には、代表的な主婦のクラフトのパロディのようで、思わずニヤリとさせられました。
彫刻(ファインアート)でもなく、伝統工芸(クラフト)でもなく、プロダクトデザイン(大量生産の商品)でもない、このジャンルに個人的には魅かれてしまうのでした・・・。
Object Factory : The Art of Industrial Ceramics
Museum of Arts and Design
2 Columbus Circle(西59丁目、ブロードウェイと8番街の間)
2009年9月13日まで