北米版のブレーレイディスクを買うと、レンタルでもないのに映画の予告編が、まず再生することがあります。その上、早送りさえ出来ない仕様になっていることもあって、半ば強制的に観るしかないことも多く「金払った上に同じ配給会社の予告編まで無理矢理見せられるのかよ~」ってことだってあるのです。以前購入したブルーレイディスクに納められていた予告編のひとつに「スカイラインー征服ー」がありました。その予告編があまりにも壮大で「インディペンデント・デイ」「宇宙戦争」のようなスケールの大作を期待してしまったのですが・・・実際は随分と”こじんまり”とした作品でありました。
「300<スリーハンドレッド>」「アバター」「2012」などを手掛けた視覚効果チームが、ハリウッドとしては低予算(2000万ドル/16億円程度)で制作したということなので、そう考えると「よく出来ている!」とも言えるのですが、映画の中で描かれる範囲が”こじんまり”過ぎです。ロサンジェルスの街自体が壊滅状態であるにも関わらず、何故か主人公たちのいるビルだけは崩壊もしていません。そして、とんでもなく巨大な怪物が大暴れしているにも関わらず、主人公たちを襲ってくるのは小型のタコみたいな敵ばかり・・・兵隊さん達が一撃で殺されるなかで、主人公たち”だけ”は、ギリギリのところで逃げ切るというは、映画としては仕方ないことなのかもしれません。ただ、敵がど圧倒的に強すぎて、人類がどれほど応戦しても鼻っから無理・・・とにかく登場人物たちは逃げ回り、結局のところ、ひとりひとり殺されていってしまうのです。「コロンバスがアメリカに上陸したようなこと」と映画の中でも言っているように、インディアン原住民のような立場の人類にとっては、非常に危機的な状況であるはずなのですが・・・本作で描かれる物理的な範囲”が登場人物たちのいる高層マンション周辺のみというのが、あまりにも”こじんまり”としているとしか言い様がありません。
最終的には、主人公たちは抵抗も虚しく、生きたまま異星人の巨大な母艦のようなモノに吸い上げられてしまうのですが・・・それは、まるで宗教的な意味での昇天(ラプチャー)のようでありました。一体、この異星人は何のために人類を襲っているのかは、ラスト10分ほどで解明されるのですが・・・「これからどうなるの!」というところで映画は急に終わってしまい、エンドタイトルが流れます。「これって、もしかして続編に続くの?」としかか思えない姑息な終わり方で・・・実際に続編の製作をしているらしいです。まぁ、この手の作品は、ビジュアル的にはCGで殆どを作ってしまうわけだから、続編と言ってもゼロから始めるという訳でなく、本作で使ったモデルリングデータや使用したアプリケーションを再利用ということになるのでしょう。
さて「スカイラインー征服ー」はアメリカでは去年の11月に劇場公開されたようなのですが・・・同じような設定(異星人がロサンジェルスを襲う)の別な映画作品「世界戦略:ロサンジェルス決戦」は今年の3月になって公開されました。実は、この2作品・・・同じ視覚効果チームが関わったということで「スカイラインー征服ー」は「世界戦略:ロサンジェルス決戦」をパクったんじゃないかと疑われて、現在裁判になっているそうです。確かに、似たような設定の映画を、同じ視覚効果で低予算でサクサクっと作って、先に公開されてしまったら困ったもんであります。ただ逆に「世界戦略:ロサンジェルス決戦」の前宣伝になったという意見もあったりもするようで・・・。そういう事情を踏まえて、日本では「世界戦略:ロサンジェルス決戦」が4月1日から先に公開する予定でありました。しかし、東北関東大震災の自粛もあって「世界戦略:ロサンジェルス決戦」の公開は10月まで延期・・・「スカイラインー征服ー」の6月18日公開予定は変わらずということで、結局、日本でも「スカイラインー征服ー」に先を越されるというハメになったのであります。
「スカイラインー征服ー」
原題/Skyline
2010年/アメリカ
監督 : グレッグ・ストラウス、コリン・ストラウス
出演 : エリック・バルフォー、クリスタル・リード
2011年6月18日より全国ロードショー
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