最近の勝間和代は「がっちりアカデミー」とかいう番組で、森永卓郎、金子哲雄ら(経済余分三兄弟!?)と共に、昼間のワイドショーの家計仕分け人(萩原博子)がするような「これが得だ!」「あれが損だ!」と下世話な経済ネタを”売り”にして頑張っておられるようです。
こうなってしまうと「経済学者」「経済アナリスト」「経済ジャーナリスト」という肩書きを捨てて、単なる「せこいケチ」度のアピールにしか見えないのですから・・・堕ちるところまで堕ちた印象です。
さて・・・我らが(?)香山リカも、毎月、新書を出版して頑張っています・・・。
最新作の「人生の法則~知るだけでココロがラクになる10章~」は、科学の法則やことわざに、精神分析医として香山リカが接する最近のココロの問題を関連づけて解説すると本となっています。
しかし、副題にあるように「知るだけでココロがラクになる」かというと・・・まったくラクにならないとしか言えない内容でした。
去年のベストセラー「しがみつかない生き方」のように、具体的な例(勝間和代を目指すな!など)での「生き方の指南」を語っているわけではありません。
「格言」「座右の銘」で人生を考える人が、あえて科学の法則から「ラクな生き方のヒント」を導き出そうとするとも、思えません。
人のココロの中で起こっている現象って、科学の法則とちょっと類似点があるのかも・・・という香山流の軽い知的(?)な遊びのつもりなのでしょうか?
おそらく、一部の理科系の人にとっては、科学の法則に置き換えることで、ココロの問題を「なるほど!」と膝を打つように、馴染み深く感じることできるのかもしれません。
ただ、臨床的な実験結果から、科学の法則と同じような現象が脳波や脳内の血流にも起きていた!という「発見」であれば、読み応えもあるでしょうが・・・「人の幸福量って、だいたい同じくらい」という美輪さんが唱えているような話を「質量保存の法則」と結びつけるのは、かなりの無理があるというものです。
ボクのように理科系でもない人間にとっては「科学の法則が先にありき」の発想で、なんとか後付けで関連づけたという印象は拭えませんでした。
他にも・・・「恋愛」と「自由落下の法則」、「仕事」と「慣性の法則」、「気分」と「熱伝導の法則」、「コミュニケーション」と「作用反作用の法則」などと、科学の法則との関連性を語られても、それだからといって「ココロがラクになる」解決に導かれるというわけではありません。
「勝ち負けなんてないんだ!」と言われれば、科学の法則には本来「勝ち」も「負け」もないわけで・・・逆に「法則だから仕方がない」というように、完全にお手上げ状態の気持ちになってしまいます。
一番読者的に意味のあった関連付けというのが・・・エピローグで、世間がハッキリと「勝間和代」対「香山リカ」という図式を作り上げて、白か黒かを問う状況を「全と無の法則」に照らし合わせていたところでした。
多かれ少なかれ、普通の人はカツマー的生き方と、カヤマー的生き方の狭間にいるわけでありますが、論争というのは、どういった場合でも「白か?」「黒か?」の「全と無の法則」に”なりがち”だということです。
エピソードを含めて計11の科学の法則やことわざを「人生の法則」と言いってしまうのは、まさに「机上の空論」・・・本当に人生を生きるための法則としては、あまりにも頼りないとしか言いようがありません。
このぐらいの関連性の「気づき」だったら、もっと大きなテーマの中での「オチ」として、さりげなく使う程度で良かったのではないでしょうか?
編集者に「先生、このテーマ面白いですね!」と奨められて書いてしまったと「あとがき」で、わざわざ言い訳をしていますが・・・今まで何冊もの香山リカ本で書いてきた内容を、なんとか法則やことわざにこじつけて本一冊に仕立てた「編集者のニーズ」だけを感じたのでありました。
カヤマーだからこそ、あえて厳しく言わせてもらうなら・・・本書はなかったことにしておきましょう。
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