2011/06/20

勝手に今年の”最低映画”レースに参戦決定!・・・これじゃアメリカ海兵隊の勧誘広告CMにもなってない?~「世界侵略:ロスアンゼルス決戦」~



「アメリカ=正義」の正当性に説得力がなくなってしまった近年・・・明らかな「敵」を設定しにくいという事情もあってか、最近はやたらエイリアンが地球を襲ってくるような映画が作られているような気がしてしまいます。その上、ロサンゼルスで”また”エイリアンと戦うって・・・以前「めのおかしブログ」で書いた「スカイラインー征服ー」のパクリなのかって感じですが、実は「世界侵略:ロスアンゼルス決戦」の方が先に作られた堂々たる大作映画なのです。本作で特殊効果を担当したストラウス兄弟が、短期間の低予算(制作費はおよそ7分の1)で「スカイラインー征服ー」を作って先に公開しちゃったということなのです。ある意味・・・腹違いの兄弟的な作品ってことにでもなるのでしょうか?「

日本では「スカイラインー征服ー」より前に公開されるはずだった本作なのですが、東日本大震災のために公開が延期となってしまいました。元々、設定が似ている2作品・・・「スカイラインー征服ー」を第1部(アメリカ公開2010年11月12日)、「世界侵略:ロスアンゼルス決戦」を第2部(アメリカ公開20011年3月11日・・・東日本大震災の日だ!)とも考えられるのかもしれません。「スカイラインー征服ー」は中途半端なB級映画感と、圧倒的に強過ぎるエイリアンを前に、武器も持たない小市民たちのなす術のない姿を眺めているしかない映画でした。しかし本作は何たって「ロスアンゼルス決戦」なのでありますから、アメリカ海兵隊がエイリアンに立ち向かい戦うのであります!「スカイラインー征服ー」に肩すかしを食らっていた分、何故か本作への勝手な期待が膨らんでしまったのでした。

ここからネタバレを含みます。

地球規模で侵略してきたエイリアンと・・・遂にロサンゼルスで「決戦」ということで、ロサンゼルス周辺で必死に抗戦するアメリカ海兵隊の姿をドキュメンタリータッチで描くという”戦争映画”。映画全編の埃っぽさは「第9地区」や「ハートロッカー」以上・・・常に動き回るカメラは、熱く怒鳴り合う兵達たちのアップと、そこらじゅうで爆発を追うので、何が起こっているのか把握するのも疲れるぅ~という感じなのです。映像技術的にCGを駆使すれば、どんなバトルシーンも撮影可能ということは、戦闘シーンの演出の技量の善し悪しが露呈するということかもしれません。ハンドカメラで臨場感を出しながら、高度のCG技術が使われているのは分かりますが、技術自体も効果的に使われていない残念な印象なのでした。

エイリアンのデザインの酷さも際立っていました。どうやらメカニックな部分とオーガニックな肉体を持っているエイリアン戦士なのですが、イマイチどういう形状をしているのか理解ができません。また、エイリアンの母艦や戦闘機も、妙にごちゃごちゃした汚いメカニック風というよく見るデザイン・・・ビジュアルセンス悪過ぎです。さらに繰り返し流れる音楽・・・雄大な戦場シーンを連想させるメロディが何度も何度も繰り返し流れるわりに、戦闘は10人程度の海兵隊の1小隊VS.エイリアン戦士の接近銃撃戦という比較的チマチマしているシーンばかりなので、音楽が沸き上がる感情を補うというよりも、意味のない感動を押し付けられているようでゲッソリ・・・音楽のセンスも悪過ぎです。

「どうやって人間が生身で戦えるの?」というほど、映画の前半ではエイリアンの戦士がメチャクチャ強くて、銃撃してもなかなか死なないのです。そこで、ひとりの瀕死のエイリアン戦士を捕まえて”拷問”みたいなことして急所を見つけるわけですが、すると途端にバタバタとエイリアンを倒せるようになるという安易な展開。そして・・・一番のズッコケは、エイリアンは地球に「水を汲みに来ただけ」という侵略理由。それなら、わざわざ世界中の都市を壊滅させたりしないで、太平洋でも、どこでも広い海で水汲んで行ってくれよって感じです。その水汲み母艦は、海兵達の銃撃であっさりと撃ち落とされてしまって・・・最初っから、母艦を攻撃してれば終わっていた30分で終わっていた「決戦」でした。アメリカでオープニングの週、興業成績第1位を獲得したのは、何か大きな期待だけはさせる予告編(下記参照)のデキの良さや、宣伝の盛り上げ方があったように思えていまいます。

特殊効果を担当したストラウス兄弟が「俺たちなら同じ設定で面白い映画が安く作れるぞ!」と「スカイラインー征服ー」作っちゃった・・・としても、容赦できるような映画でした。

余談ですが・・・ひと昔前まで、エイリアンが地球にやってきて、ぶっ壊す街と言えばニューヨーク(または、ホワイトハウスのあるワシントンDC)というのがお決まりした。皆が知っている有名な建造物が派手にぶっ壊されるのが、この手の映画の見所だったと思うのですが、ロサンゼルスやサンタモニカの街並って破壊されても見栄えしないような気がするんですよね。ニューヨークで暮らしたことのあるボクとしたら、エイリアンの攻撃目標が西海岸に移ったというのは・・・なんか寂しい限りであります。


「世界侵略:ロスアンゼルス決戦」
原題/World Invasion: Battle Los Angeles
2011年/アメリカ
監督 : ジョナサン・リーベスマン
出演 : アーロン・エッカート、ミッシェル・ロドリゲス、ニーヨ、ブリジット・モイナハン、マイケル・ペーニャ
2011年9月17日日本劇場公開



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