2012/01/18

シリーズ3作目にして”DVDスルー”に納得してしまう駄作・・・残酷描写のマイルドな中途半端なパクリ映画にしか思えませんからっ!〜「ホステル3/HOSTEL PART Ⅲ」〜



製作総指揮がクエンティン・タランティーノ。「キャビン・フィーバー」のイーライ・ロス監督による「ホステル」は、極悪無道の残虐描写が”売り”の拷問/殺戮ホラー映画の人気シリーズであります。

舞台はスロベニア共和国にある金持ちのための拷問と殺戮の会員制のクラブ・・・スロベニアの人たちからしたら、自国を舞台にトンデモナイ映画を作るもんだであったことでしょう。金を払って、人を殺すことを楽しむなんて・・・道徳的にも、かなりヤバい映画ではありました。1作目よりも悪趣味さ不道徳さがアップした「ホステル2」の後、音沙汰なかった「ホステル」シリーズ第3作目は、本国アメリカでも劇場公開なし、DVDスルー映画のレーベル「STAGE 6」での製作となったのです。

「ホステル」「ホステル2」で、製作総指揮のひとりとして名を連ねていたスコット・スピーゲルが「ホステル3」の監督をつとめています。サム・ライミとは高校時代からの友達で、映画の製作、脚本、俳優と多彩に関わってきた人でもあります。レンタルビデオ屋に勤めていたクエンティン・タランティーノを映画界に紹介しり、イーライ・ロスのプロダクションを一緒に立ち上げたりと、業界内のでの交友関係が有名な人でもあります。ただ、今まで監督した作品はDVDスルーが多いというのがビミョー・・・「ホステル3」は、まさに、その不安が的中の仕上がりでありました。

以下、ネタバレを含みます。

まず・・・舞台をスロベニアからラスベガス(砂漠)にしたことで、前作までの妖しい雰囲気がなくなってしまいました。旧社会主義国であったすスロベニアは、西側の勝手なストレオタイプなのかもしれませんが、どこか人間性に欠けたような不気味なイメージを作り上げやすかったのです。本作は制作時からDVDスルー映画として低予算だったからなのか・・・それとも、スロベニアからクレームがあったのか・・・舞台をアメリカ本国、それも近場(?)にしたことで、正統なシリーズ作というよりも、パクリっぽくなてしまったのでした。

物語のはじまりは、どこかしら「ハングオーバー」を彷彿させるバチェラーパーティー(結婚式の前に、新郎と友人達が集まる)・・・羽目を外してエスコートサービスの女性と遊ぶのですが、そのうち中もの一人が消え、危険な秘密クラブへと彼らは引き込まれてしまうのです。今回も”エリートハンティングクラブ”という会員制の拷問/殺戮クラブが舞台にはなっているのですが・・・ラスベガス周辺というのもあってか、拷問もショー形式。内側からも客席の見えるガラス張りの拷問室で、被害者に与える拷問をスロットで選ぶというギャンブルという嗜好にしているのですが・・・これが、まったく映画的に盛り上がらないシステム。その上、見世物としての「拷問ショー」となったので、機械的に殺戮行為を行っているために残忍性は薄味になっています。

前2作の残虐さというのは「個室」の拷問室で”自分の趣味嗜好のためだけ”に人間の命を買って、好きなように拷問して殺すという・・・ありえない不道徳さに血が凍る恐怖を感じたものです。さらに・・・「アンレーティング」でのDVDリリースのはずなのに、肝心の一番エグい残虐部分は映像には映さないという意味のない自主規制(?)の仕様となているのも意味がわかりません。

バチェラーパーティーの仲間の一人が、実はエリートハンティングクラブのメンバーで、新郎に自分が好きな女性を取られた嫉妬で、友達をクラブの餌食にしたという陳腐な動機が明らかとなるのです。エンディングは、砂漠にあったクラブの巨大な建物の爆破で焼け死んだと思わせていた新郎は実は生きていて、新婦とともに策略にはめた友人を殺すのだけど・・・被害者の一般人ふたりが、手間のかかる復讐殺人するというリアリティのなさに、まったく恐怖は感じません。

前2作のような「ホラーサスペンス」から「アクションホラー」のような「ちから任せ」な演出で「ホステル」らしい怖さは皆無・・・DVDスルーに納得の駄作となっていたのでした。

ホステル3
原題/HOSTEL PART Ⅲ
2011年アメリカ
監督 : スコット・スピーゲル
脚本 : マイケル・D・ウェイス
出演 : ブライアン・ハリセイ、キップ・バルデュー、スカイラー・ストーン、ジョン・ヘンズリー、サラ・ハーベル
2012年2月22日日本国内版DVD発売



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