以前「めのおかしブログ」でも取り上げたことのあるニンテンドーDS向けのファッションゲーム・・・「わがままファッション ガールズモード」と「That's QT(ザッツ・キューティー)」の2作は、”ファッション”をテーマに、それぞれ斬新なゲーム性を持たせた名作であります。ニンテンドー3DSの本体価格の大幅な値下げや、「スーパーマリオ3Dランド」と「マリオカート7」という任天堂ビックタイトルの発売と3DS向けプラットフォームへの移行に拍車がかかり、ファッションゲーム2作が発売されました!まだ、初年のみのプレイしかしていませんが・・・それぞれのタイトルのターゲットとしている購買層の違いや、メーカーの得意とするゲーム性や世界観を感じさられました。
「nicola監修 モデル☆おしゃれオーディション2」は、DS向けに発売された小学生向けのファッションゲームの同タイトルの第2弾・・・3DS向けの立体映像によるパワーアップだけではありません。前作は未プレイなのですが、「カラコン」「ネイル」「つけまつげ」「マスカラ」「チーク」「リップ」を楽しめるようになったことで、メイクする楽しさが格段に広がっているようです。今日日の小学生女子にとって、お化粧というのも、すでに”おしゃれ”の一部として楽しむようになってきていることの反映でしょうか?ただ。違いを確認できないほど表示が小さいので、メイクで大変身ということは実感できません・・・あくまでも「盛ってる」という自己満足を楽しむところが、ある意味、女子心の確信を突いているのかもしれません。
ゲームは、毎月5本与えられる雑誌「nicola」編集部でのお仕事をこなしていきながら、ギャラを稼いで・・・マイルームのクローゼットで着替えられる服やアクセサリーを揃えたり、メイクカラーやヘアスタイルが増やしていくというのが基本的な流れです。強制的に時間が流れるのではなく、お仕事を終わらせないと次の月に進まないので、自分のペースでプレイできるのがミソかもしれません。
お仕事というのは、主にテーマに沿った”コーデ”をするというものなのですが・・・検索を使ってキーワードからテーマに合ったアイテムだけを表示する機能があるので、編集部の意向に添った”コーデ”えをするのは、それほど難しくありません。また、最初から服やアクセサリーはすべてから選び放題なので、お仕事で稼がないと思うようなコーデが出来ないという縛りもなし。撮影の最初のポーズと表情は自分で決める事ことができるのだけど、表情の選択画面が凄く小さいので老眼のおじさんには、表情の違いを把握するのはまず無理。といっても・・・それほどゲーム要素ではないようで、依頼されているテーマに準じたアイテムを揃えていれば、どんなポーズでも表情でも編集部は満足してくれます。お仕事の種類も豊富で重複することはありませんが、ハッキリ言って「作業的」・・・難易度はお子様向けといっても良いでしょう。
写真撮影後、誌面のデザインも任されていて(どんな編集部なの?)いるのですが・・・ここが「おしゃれオーディション」のキモであります。タイトルポップの色や配置、背景の柄、キラキラとしたデコレーションフレーム、立体的に張り付けられるデコレーションアイテムで、「モデション2」の醍醐味を実感できる瞬間であります。キャラクターデザインの可愛らしさに加え、モデルとしてのポーズも豊富で、ガーリーな”ときめき”を満喫できます。さらに”あがる”デコのてんこ盛りのゴチャゴチャで「誌面としては如何なものか?」と思いますが・・・シンプルな美的感覚とは無縁の世界と割り切って楽しんでしまいましょう。
毎月のようにオーディションがあるのですが・・・クライアントの希望のキーワードに準じたコーデをして、写真館でポートレートを撮影して応募するというもの。ポートレート撮影のコーデは自分の所有するアイテムからしか出来ないので、オーディション用に買い物をする必要はあります。ただ、ギャラが仕事のたびに貰えるので、欲しいアイテムが買えないということはありません。オーディションに合格すると、編集部のギャラより多い金額(10万円!)を貰えますので、出来る限り合格を勝ち取れば、さらに買い物三昧できます。
「nicola」の読者モデル同士でのコミュニケーションもあるけど、自分から意図的にコミュニケーションを取れるわけではなく、相手が一方的にイベントに登場してきます。また、対応の選択肢があるわけでなく・・・地味に繰り広げられる人気投票や、オーディションの合格不合格で、パラメーターが変化するという仕組みなのかもしれません。意地悪なライバルの読者モデルとかは存在しないみたいで、イベントで発生した思い出は記念写真として保存されていきます。お仕事で出演する「ニコラ学園」というドラマで恋愛体験はできますが、1年目では男子との一対一の恋愛イベントというのは起こらないようであります。ただ、シナリオが進むに連れて出現する男子はドンドン増えてくるので、2年目以降に期待(?)です。
ファッションに興味がなくてもキーワードを考慮すれば、楽々クリアできてしまうゲームではありますが・・・やはり「カワイイ」雰囲気を楽しむのが王道。いちいち過剰なまでの「ガーリーな演出」に、心地よく”ときめく”ゲームとしてお薦めです。
”ネオロマンスゲーム”のコーエーから発売された「FabStyle(ファブスタイル)」は、あきらかに対象は「おとなの女性」・・・ゲームスタート時の主人公のカスタマイズで、顔の形、眉、目、口元の選択によって、かなり細かく容姿を作り込んでいけます。さらに下着まで選ばないといけないのですから、キャラクター”なりきり”っての感情移入はしやすいかもしれません。
ゲームは、姉から受け継いだブティックの経営でプラチナ大賞を目指すというのがシナリオですが・・・店頭販売でのミニアクションゲーム、アドベンチャーパートの恋愛とイベント、アカデミーでの「ファッション業界」「会社経営」「マナー」の勉強、そして勿論”着替え”も楽しむという何とも盛りだくさんであります。キャクターの容姿が結構リアルな上に、着替えも、メイクも、イベントのムービーに反映されるので、着替え要素には力を入れたくなる仕様となっています。
ブティック経営ですが・・・思いの外、大雑把なシステムです。フリータイムにお店に行かなくても、売り上げナンバーワンになれてしまいます。仕入れに関しても、ブランドごと、アイテムごとに仕入れるのではなく「お任せ仕入れ」で、どのブランドからもまんべんなく買い付ければ、お客様からの要望に応えられないことはありません。自分のテイストを出したいなら「コンセプト仕入れ」で、あるブランド(ブランドごとに客層がハッキリと決まっている)を選ぶと、そのブランドを多く仕入れてくれます。勿論、アイテムごとにひとつずつ買い付けすることも出来ますが、特に”ある”アイテムを大量に仕入れたいという意図がなければ、そんな面倒なことをする必要性はまったくありません。
販売は、毎月の開店時にひとりのお客さんを相手しますが・・・お客様情報で好きなテイストを確認すれば、そのテイストのブランドで欲しがっているアイテムを選ぶだけ。その後、シルエットで登場するお客さんが希望するアイテムのアイコンを、タッチペンで選んで運ぶという「ミニアクションゲーム」となるのですが・・・これが、なんとも陳腐なゲーム。まさに「作業的」で、毎月繰り返すので飽き飽きさせられます。上手にアクションをこなせば、売り上げも上がるというシステムなのですが・・・ファッションゲームにあるまじき、ファッション要素も、経営シュミレーション戦略も一切なしという驚愕の無意味さです。
アドベンチャーパートは、さすがに”ネオロマンスゲーム”の老舗だけあって、超ベタな世界観に満ちています。すべてのイベントではありませんが、声優さんのボイスで「くさい台詞」を言ってくれます。男性とのイベントによって、経営パートでのいろんな「仕入れ」や「プロモーション」の選択が可能となるので、好きじゃなくても「経営パート」をスムーズに進めるためには、仲良くしておく必要はありそうです。男性キャラは「韓流」スター的なルックスばかり・・・逞しいポーツ選手とか、せめて髭を生やしたワイルド系も加えて欲しかったというのが正直な印象。ただ、恋愛ゲームとしての難易度は低めで、努力しなくても男性から勝手に好きになってくれるので「ときメモ」のように苦労することは、まったくありません。
ちなみに、ボクは1年目で恋愛可能な相手の一人、アカデミーでデザイナーを目指している苦学生の「レオ」くんにターゲットを絞って、彼のドレスのモデルまで務めさせて頂きましたが、告白(?)されたと思ったら、スペインのデザイナー(何故、スペイン?)からインターンのアシスタントとして採用されと言って、あっさりと消えてしまいました。「お金がないから諦める」というレオくんに対して、選択肢に「私がお金を出してあげる!」という、まさかの「貢ぎ女」発言・・・金額を聞けば1年間でたったの100万円必要ということなので、あっさりと貢いでしまいました~!
大人の女性向けという意味で興味深いのは・・・ヘアサロンのオネェキャラ「マコ」ではないでしょうか!太い声でオネェ言葉のボイス付きのイベントが何故か多くて、仲良くなると「私のこと、どう思ってるか彼に聞いてきて!」とか、頼みごとをされたりもします。本来であれば、男性キャラ攻略の大事な情報源として活躍する立場のキャラなのだと思われますが・・・恋愛要素の難易度があまりにも低いので、わざわざマコさんの情報をアテにする必要はなさそうです。でも、ボクはマコさんとのオネェな会話目当てで、足しげくヘアサロンに通ってしまうのであります。
「FabStyle」の一番のプレイヤーを萎えさせる点というのは、アカデミーでのお勉強パートではないでしょうか?講義ということで数ページのテキストを呼んで、その内容に関する質問に答えるというものなのですが・・・これが、まるで学習ソフト!テストに出される質問には、講義のテキストに書かれていない意地悪な質問も含まれるので、ファッション業界の専門用語、簿記で必要なビジネスについての知識、そして常識以上の食事や日常のマナーなどを分かっていないと、一発で満点というのはまず無理でしょう。現在、発売されている攻略本にも、アカデミーの問題と回答は記載されていないようです。
ファッションゲームと言っても目指す世界は「玉の輿か?」と突っ込みたくなるような「上昇志向の強い世界観」であります。接触してくる男性は、すべて”世界的”に凄い方ばっかり・・・リアルだったら絶対に結婚詐欺師しかありえないメンツです。それに、何とか理屈こねて、親しくなると海外へ行ってしまうのですが、そのために二股、三股は当然というか、経営モードのプロモーション選択肢を広げるためには必然だったりします。
1年目の売り上げをクリアすると、次の年は価格の高いブランドを扱うようになります。最終的には海外のデザイナーレベルの高価な服を扱うセレクトショップを目指すことになるのですが・・・「高価な服=ビジネスの成功」というヒエラルキー自体、それほどファッション・ビジネス的にも正しくないように思えます。ゲームがゴールとしている女性像に、バブル的な貪欲さを感じさせられてしまうところがありました。
恋愛にも、仕事にも、勉強にも、何かと”欲張り”なゲームで、男も仕事もすべては自分の成功のためにという「素敵な(?)女性の生き方」を夢見るのならば・・・”人生バラ色ゲーム”としてお薦めです。ただし、お勉強パートのハードルを超えなければなりませんが・・・。